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GReeeeN「キセキ」の映画化は、他の名曲「ハナミズキ」「リンダリンダ」の場合とどう違う?

リアルサウンド 6/24(金) 15:00配信

 映画『キセキ ーあの日のソビトー』が、2017年新春に公開される。同作品は、GReeeeNのプロデューサー・JINと、彼の実弟でGReeeeNのリーダー・HIDEの兄弟2人が、楽曲「キセキ」を生み出すまでの物語を実話を基に描く。

 これまでも、楽曲をモチーフとした映画はいくつか存在してきた。例えば、映画『涙そうそう』(2006)は、森山良子が作詞、BEGINが作曲を手掛けた「涙そうそう」の歌詞をモチーフに作られている。同曲の歌詞は、森山良子が幼い頃から親しみ、マネージャーとしても陰で支え続けたの実兄を想って書きあげたもの。実際の映画も兄弟愛をテーマにしたストーリーとなっており、BEGINが活動の拠点としている沖縄を舞台としている。また、映画『涙そうそう』と同じスタッフで制作された映画『ハナミズキ』(2010)のモチーフは、一青窈の同名曲。楽曲のメインフレーズでもある<君と好きな人が100年続きますように>を物語の軸として、主人公の男女が10年の時をかけて愛を育んでいくラブストーリーが描かれている。そして、映画『未来予想図 ~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~』(2007)は、DREAMS COME TRUEの楽曲『未来予想図』『未来予想図II』の歌詞の世界観を映画化した作品で、主題歌として新たに『ア・イ・シ・テ・ルのサイン ~わたしたちの未来予想図~』が書き下ろされている。

 楽曲をモチーフとして作られた映画は、歌詞の世界観を再現したものがほとんどである。しかし、今回発表された映画『キセキ ーあの日のソビトー』は、楽曲の制作経緯を明かすストーリーとなっている点が珍しい。「キセキ」の制作時エピソードは、2016年3月11日に刊行した『それってキセキ~GReeeeNの物語~』(角川マガジンズ)にも紹介されているが、この内容がどこまで今作で描かれるのか。「キセキ」は、メンバーが「歯科医師国家試験」を目前に猛勉強の最中、グループの活動を控えていた時期に誕生した楽曲。当時の彼らが、“歯科医師”と“GReeeeN”という2つの夢を追いかける葛藤は、映像化によって鮮明に表現されるに違いない。

 また、同作の脚本を手掛けるのは、斉藤ひろし。同氏は、映画『風に立つライオン』の脚本を担当。実在する日本人医師・柴田紘一郎のエピソードをモデルにさだまさしが制作した楽曲「風に立つライオン」が、その後小説となり、映画化された。また、陣内孝則率いる伝説のロックバンド・TH eROCKERSの自伝的映画『ROCKERS』も手掛けている。斉藤氏が手掛けた作品は、ドキュメンタリー要素を踏まえたものが多く、目標を持って生きる主人公たちのひたむきな姿勢を感動的に描いてきた彼が、タイトルにある「ソビト」が意味する“自由に新しいことに挑戦していく人”を今作の軸として作品化していくようだ。映画中のライブシーンなど、音楽を題材にした作品ならではの音響効果による臨場感ある演出も楽しみだ。

 映画化されるスタイルは様々あるものの、映画化に至る楽曲は何年もの間、世代を超えてたくさんの人に愛されてきた楽曲たちばかり。「ハナミズキ」や「涙そうそう」、「リンダリンダ」などの楽曲は、発表から数年が経過しているが、いまだにCMソングの定番曲や様々な音楽ジャンルの歌手によるカバー曲がリリースされている。そして、2008年に発表された「キセキ」もまた、カラオケの定番曲として歌われ、海外アーティストがカバーした「キセキ」はCM楽曲としても起用された。映画化された楽曲たちは、時代、世代、ジャンルを超えて愛され続けている。

 ドラマ 『ROOKIES』の主題歌から人気に火がつき、着うたフル(R)史上最多ダウンロード記録でギネスにも認定されたGReeeeNの「キセキ」。今回の映画化は、9年の時を経て、楽曲の新たな魅力を引き出すきっかけとなるのではないだろうか。今作は、映画シーンにおいても新鮮な切り口から生まれた音楽映画として注目したい一作だ。

大和田茉椰

最終更新:6/24(金) 15:00

リアルサウンド