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「火花」で役者デビュー!“リアル火花芸人”が吼える

Smartザテレビジョン 6/25(土) 10:00配信

「僕は“リアル火花芸人”」そう息巻くのは、お笑いコンビ・井下好井のボケ担当・好井まさお。

【写真を見る】芸歴10年、“芸人・好井”のポージング

好井は、又吉直樹の芥川賞受賞作を原作にしたドラマ「火花」で役者デビュー。林遣都演じる主人公・徳永とお笑いコンビ・スパークスを組むツッコミ担当・山下を演じる。

Netflixオリジナルドラマ「火花」は、漫才界に身を投じた青年たちのリアルな姿を描いていく連続ドラマ。世界190カ国において全10話が一挙に配信されている。

今回、「火花」の配信に先駆けて、好井にインタビューを行った。取材日からさかのぼること約7カ月前。’15年10月4日、松本人志と陣内智則が、壁にぶつかっている芸人の悩みを聞くドキュメンタリー「下がり上がり」第2弾がフジテレビ系で放送された。

そこに出演したのが井下好井だった。好井は芸歴10年だというのに売れていない現状を吐露。芸人として厳しい中で子供が生まれ、アルバイトした方がいいのかと松本に質問。「バイトするしかないと思うな」との答えに深く得心していた。

そんな中、同年12月に好井がNetflixオリジナルドラマ「火花」に出演することが発表された。「下がり上がり」出演時、オファーはなかったという。

「オファーは10月くらい。でもオーディションを受けてなくて、山下役のオーディションでは練習役、林くん演じる徳永の役でした。でも廣木さん(総監督の廣木隆一)の一存で山下役に決まりました。恐れ多くて、一度はお断りしたんです」

原作とは違い、山下の出番はかなりのもの。各話、スパークスのネタが映し出される。劇中、徳永がスパークスはネタを100本作って来たと客前で言うシーンがあるが、実際には8本ものネタを作り上げた(スパークスのネタは、徳永が書くという設定)。

「(ネタは)作家さんからもらって『そのままやっていい』と言われたんです。けど芸人として、『そのままやっても…』という気がしたので、ボケを足しました。千本ノックみたいに、僕が林さんに『こんなボケどうですか』といろいろ提案しました。林さんが笑ったものを採用したり、林さんがやってもうまくいかないものは切ったりして作り上げたんです。4割くらい作家さん、6割くらい2人で作ったネタもあるし、ほぼ2人で作ったネタもあります。“徳永が恋してるかも”というネタはほぼ2人で作りました」

好井演じる山下の恋人役には、高橋メアリージュン。くしくも彼女の出演映画「闇金ウシジマくん Part2」(’14年)を公開時に見た好井は「嫁さん以外で世界で一番奇麗な女や」と周囲に絶賛して回ったという。

「だから今回の共演は、すごく反響がありました。(高橋さんの印象は?)めっちゃええ人。撮影の合間もずっとしゃべってました。モデルさんやからちょっとツンとしてるんかなっと思ってましたが、とっても純粋な方でした」

原作者・又吉とは事務所の先輩後輩の間柄。又吉にはとりわけかわいがられていると自認する好井は、又吉が「火花」執筆中によく食事にも行ったという。

「(執筆当時)又吉さんから『漫才師とは何やと思う』って相談を受けたんです。もうそんなこと言われたら長々しゃべるじゃないですか。『僕はこう思う』とかいろいろ言うんですが、又吉さんは一切興味を示さない。それでも10分くらい頑張ってしゃべって『漫才師とはこういうもんやと思います』って言ったら、『ふ~ん、そうか』って全然刺さってないなと感じたんです」

そんなやりとりを経て、’15年1月に発売された「文学界」(文藝春秋)誌上において、小説「火花」が発表される。

「そうして『火花』を読んだら、『漫才とは?』とか漫才についてたらたらしゃべるやつは一生漫才師になれないってあったんです。『いや、俺のことどう思てんねん』と。又吉さんにこの前話したら『いやいやそういうことじゃないねん』と言ってましたけど」

そんな原作を読んだ感想を聞いてみると、熱い答えが返ってきた。

「芸人を辞めていった人には刺さるやろなと思います。芸人の仕事って見下されていると思うんですよ。いろいろな人が『芸人さんってすごいですよね』と言うんですが、そう言っている時点で下に見てるんですよ。そんな芸人を辞めて、胸にしこりを残しながら就職した才能ある先輩方を100人くらい知ってますけど、『火花』によってその100人の人生がめっちゃ肯定された気がします。いろいろ苦しい思いをしながらひとつの事にずっと打ち込んできた芸人が、他の職業に就いても頑張れる作品になったと思います」

頑張れる…好井にとっても、「火花」出演は頑張れるきっかけになった。

「舞台には立っているけど、陽の目の見ない状況で、芸人を辞めようと思った時に、今回の『火花』のような“ええ仕事”が入ってくる。だから辞めようと思っても辞められないんです、ずーっと。『火花』をやって、もう一回『頑張ろ』と思ってるんです。林くん、波岡(一喜)さん、高橋さんらとしゃべっていると、すごいモチベーションが上がったというか、『もうちょっとやろ』と」

撮影期間4カ月。定期的に行っている単独ライブもこの間は休止し、徳永を演じる林を相方に、漫才師・山下を演じることに没頭した。

「俺みたいなもんがNG出すなんて絶対あかんから、もう1話目では、1日目の撮影時に、せりふは全部覚えてました。7話以降になると、台本もらったその日に全部覚えました。全然苦にはなりませんでした」

せりふを完璧に頭に入れたにもかかわらず、アドリブも結構入れてしまったと笑う。

「芝居をやっていると楽しくなってきて、いろんなアドリブを入れて、いろんな適当なことを言ってしまうんですよ。でも(監督やスタッフは)全然怒らないんですよ。めちゃくちゃ自由で。困ったこともありましたが、めっちゃ楽しかったです」

スパークス・山下と井下好井・好井。立ち位置も違えば、ボケ・ツッコミの役割も異なる。そこに苦労はあったのか?

「僕は根っからボケというよりも、たまたまボケに見えるだけなんです。物事をツッコんでネタを作るんですが、人の悪口・ねたみ・文句ばっかり言うてる。それってツッコミみたいなもんです。『10割ボケ』じゃなくて、『7割ボケ・3割ツッコミ』なんです。あとは辞めていったツッコミの方を思いながら演じました。だから自分の本来の立ち位置であるボケじゃなくても、(ツッコミの)山下を演じられました」

好井のほかにも多くの芸人が出演。中でも、とろサーモン・村田秀亮は、徳永が憧れる神谷(波岡一喜)の相方・大林役に抜てきされた。

「(村田の演技を見て)すごく簡単な言葉ですが『渋っ』と思いました。村田さんは、めちゃくちゃ仕事来るやろうなと思いました。村田さんを知っていても大林に見えました」

役者への色気も満々。またオファーが来たらと問うと「二つ返事です」と即答した。

「こんなに泥水すすって芸人やってますから、仕事を断ることがないんです。今まで芸人じゃない仕事も何個もやってきましたし。『携帯電話を売るだけ』とか『コンビニ前で呼び込みだけ』とか。楽屋もなく、売り場の端っこで着替えていて売り場の人に『邪魔なんだよ』と言われたことも何回もあったし。『役者の仕事ですか…芸人なんで』と断ったり絶対しません。なんなら役者として敬礼しながら交番の前で4日間立つみたいな仕事も全然やります(笑)」

最後に“漫才師・好井まさお”としてアピールしてもらった。

「デビュー当時からずーっと単独ライブをやっています。去年やめようと思った芸人が、もう何年か頑張ろうかなと思って昨年のM-1グランプリにも出場しました。こんな“リアル火花芸人”を、見に来てください!」

最終更新:6/27(月) 19:40

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