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涙のセレモニーで宇佐美がドイツ挑戦の決意を語る。「2度目は地面に這いつくばってでも――」

SOCCER DIGEST Web 6/25(土) 21:32配信

チームへの置き土産となる4戦連続弾はならずもインパクトのあるプレーを披露。

 ドイツ・アウクスブルクへの移籍が決まっている宇佐美貴史が、JリーグラストマッチとしてJ1・第1ステージ最終節の名古屋戦へ臨んだ。





 振り返れば、宇佐美は2009年のプロデビュー戦(ACLのFCソウル戦)、11年のバイエルン移籍前のラストマッチ(J1の神戸戦)、13年のホッフェンハイムからのG大阪復帰初戦(J2の神戸戦)など節目となるゲームでは必ず結果を残してきた。その勝負強さは今回も発揮されるのか――。
 
 スタジアムへ向かう道すがら「39」のユニホームを身に纏うサポーターの姿が目立ち、アップの時間から“宇佐美コール”が巻き起こるなど、スタジアムは熱気に包まれていた。
 
 しかし、G大阪は開始3分に先制点を奪われる苦しい立ち上がりを迎えた。1点を取ったことで守備に軸足を置いた名古屋ディフェンスをなかなか崩せない。宇佐美は左からドリブルで仕掛け状況の打開を図る。43分には遠藤のパスをPA内左で受けると右足を一閃。シュートはわずかにゴール右に外れたが、これで勢いを取り戻したチームは阿部のゴールで同点で前半を折り返す。
 
 すると後半、宇佐美はギアをひとつ上げたかのように躍動する。圧巻だったのは51分のプレーだ。左サイドで小川からボールを奪うと一気に名古屋ゴール前に侵入する。背後からのイ・スンヒのチャージをものともせず、前に立ちはだかった竹内の股を抜き、シュートを放つ。フィニッシュはやや弱くなえり、楢﨑に防がれたが、インパクトを残すには十分なプレーだった。
 
 そして3分後の54分には鋭いFKで金正也の逆転弾をアシストすると、同点に追い付かれた後の87分には再びFKから勝ち越しゴールを演出してみせた。
 
 その後、チームは3失点目を喫し、3-3のまま試合は終了。宇佐美はチームへの置き土産となる勝利、そして4戦連続弾は奪えずにゲームを終えた。
 

「助けてもらわなくて済むような男に成長したい」

 試合後のセレモニーでは、宇佐美はサポーターへ向けこう語った。
 
「(今日は)勝てなかったのは悔しいですが、全員でやり切った結果です。悔しいですが仕方ないと思います。ただ、僕の気持ちは伝えたいと思います。昨日、なにを話すか、ガンバでの日々を振り返り、ひとりで泣きました。僕の人生でガンバがなかったことはなかった。僕の夢はプロサッカー選手ではなく、ガンバの選手になることでした。
 
(ガンバの)サポーターだった自分がサポーターの方に応援してもらえる環境は最高でした。心の底から感謝しかありません。このセレモニーは2回目ですが、以前は心身ともにボロボロになった自分を温かく迎えてくれて、『ここから這い上がれ』という横断幕を掲げてもらいました。皆さんと一緒に取れたタイトルは僕の最大の誇りであり、最大の喜びです。
 
 2度目は粘り強く、地面に這いつくばってでも努力を重ねて、皆さんに助けてもらわなくて済むような男に成長して、このクラブでいつかプレーできることを夢見ています。最後になりますが皆さんのことを愛しています」

 またサポーターの前へと移動し、「この3年半が一番面白くて、思い出深いです。ここを離れることは寂しいです。ただ、俺は男なので、皆さんの気持ち、チームメイトの気持ち、監督コーチングスタッフの気持ちを形にして、どんなにボロボロになってもヨーロッパに挑戦したいです。しばし、ガンバの選手ではなくなるという気持ちですし、また戻ってきて爆発的なプレーを見せて、このクラブで引退できれば最高です」とメッセージを送った。

 11年に移籍したバイエルンでは3試合・0得点、翌年に移ったホッフェンハイムでは20試合・2得点と、最初のドイツ挑戦は満足できるものではなかった。しかし、Jリーグに復帰した13年は当時J2だったG大阪で18試合・19得点とゴールを量産し、14年にはチームの3冠に大きく貢献。ハリルホジッチ体制下の日本代表では主力として活躍している。
 
 ドイツでの挫折から大きく成長してきた。そして満を持しての2度目の挑戦――。ひと回りもふた回りも大きくなった宇佐美が異国の地でどのような輝きを放ってくれるのか、注目したい。

取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

 

最終更新:6/26(日) 2:46

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