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英国EU離脱で喜ぶ人たち

Japan In-depth 6/26(日) 12:50配信

欧州連合(EU)から離脱の是非を問う英国の国民投票が24日実施され、得票率は「離脱」が51.9%、「残留」が48.1%という結果がでた。

この結果を受け、一時的に為替や株価に大きな影響がでるなど、24日は世界的に大混乱な一日となったのだ。

フランスのメディアFrance Infoによると、EU内で一番影響を受けるのはフランスだろうと言われている。フランスは乳製品をはじめ農作物を多く英国へ輸出している。またフランスを訪れる観光客は、英国はドイツに次ぐ数であるが、EU離脱を経て国境の行き来が現在のように自由ではなくなると、大幅に観光客が減少するリスクがあるという。

しかしながらそれよりも心配なのは、これを機に起こる反EU、移民排斥を掲げるナショナリズムの拡大だろう。すでに、フランスの極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首はツイッターで、英国のEU離脱を「自由の勝利」だと歓迎し、フランスでもEU離脱の是非を問う国民投票を実施すべきだと声を上げている。フランスは来年、大統領選挙も控えており、テロ後に行われた選挙では、FNが大きく躍進した経緯もある。

だいたい国民投票は危うい。今まで政治判断を代表者にゆだねていた国民が、十分な知識がないままに感情や直感で投票する。その結果が今回の離脱派の勝利ではないだろうか。経済悪化によって高まった不満は、目につきやすい移民に向けられやすく、間近に目にする身に迫った問題であり感情論になりやすいのだ。

だが、元々EUが結束した一番の大きな理由は「平和」ではないだろうか。ヨーロッパ諸国は二度に渡る世界大戦の反省から、ヨーロッパ地域の国が丸ごと一体となって戦争を防ぐという目的を持っており、実際、EUが出来てから欧州の大国間で大規模な衝突は起きておらず、良くも悪くも平和な状態が続いていたのだ。

ゆえに結束が崩れるということは、再びヨーロッパが動乱の時代に戻るリスクが有るということでもある。フランスでも、庶民の間では「英国がEUから出て行った方がフランスには有利になる」と言う意見を言う人もおり、自分の国さえよければいいと言う考えが横行している現在の状況は、戦前と酷似していると危惧する専門家もいる。

今後のEUの結束は、フランスとドイツの動きが大きな鍵となることは間違いないだろう。すでにオランド大統領は、「イニシアティブをとる」と述べており、EU加盟国の首脳陣は、影響を最小限に食い止めるためにも、英国の「なるべく速やかな」離脱を促す共同声明を発表している。

25日にはEUの前身の欧州共同体(EC)の原加盟国であるドイツ、フランス、オランダ、イタリア、ベルギー、ルクセンブルクの6 カ国外相がベルリンで緊急会合を開く。またオランド仏大統領とメルケル独首相は27日にベルリンで会談する。オランド氏はレンツィ伊首相、トゥスクEU 大統領とも会談する見通しであり、28~29日にはEU首脳会議が予定される。日本にも経済的に影響が大きいこの問題。今後2年間の英国とEUとの話し合いの展開に注目したい。

ところで、英国のEU離脱を喜んでいるのは、FNだけではないようだ。国民選挙の結果発表から一晩明けた25日の朝のフランスのニュースでは、国境沿いで英国に渡ることを阻止されているカレーの難民が「これでようやく英国に行けます。」とインタビューに答えていた。

国民選挙前に、EU離脱という結論がでれば「英国に渡る難民を阻止する理由がなくなる」とフランス側が示唆してきたことを受けての反応だろう。英国のEU離脱のニュースは、国境沿いで長期間の不自由な生活を送っている一部の難民達に希望を与えたようである。

Ulala(ライター・ブロガー)

最終更新:6/26(日) 12:50

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