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なぜサラリーマンには人事異動があるのか? (塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 6/26(日) 6:00配信

就職活動中の学生に、日本企業について考えてもらうための文章を記しました。若手サラリーマンにもお読みいただければ幸いです。

■「巨人の投手」が仕事を変わるとすれば?
プロ野球の読売巨人軍の投手が、仕事を変わるとすれば、他のプロ野球チームで投手となるであろう。読売巨人軍で捕手をやる事は考えにくい。彼のアイデンティティー(自分が何者であるか、という自己認識)に於いては、巨人軍の一員である以前に投手なのである。「巨人軍の一員が、たまたま今は投手をやっている」のではなく、「投手が、たまたま今は巨人軍で働いている」のである。

筆者は久留米大学商学部教授であるが、仕事を変わるとすれば、他大学で経済を教えることになるだろう。久留米大学で哲学を教えたり、経理の仕事をしたりする事は考えにくい。つまり、筆者のアイデンティティーは、久留米大学の一員である前に経済学の教授なのである。

もちろん、巨人の投手は同僚との仲間意識もあろうし、巨人が勝てば嬉しいであろう。筆者も、同僚との仲間意識はあるし、久留米大学の運動部が他大学に勝てば嬉しい。しかし、それは「所属している組織のためなら何の仕事でもする」という事とは違う。こうした人々を「スペシャリスト」と呼ぶ。

■日本企業はジェネラリストを養成
一方で、日本企業のサラリーマンの多くは、仕事を変わるとすれば、同じ会社の中の違う部署へ移動するであろう。こうして、日本のサラリーマンは、「社内の仕事なら何でもやる」ということになる。こうした人々を「ジェネラリスト」と呼ぶ。○○株式会社の社員が、たまたま今は経理部で働いている、という事である。

サラリーマンは人事異動のたびに、不慣れな仕事を担当させられ、苦労も多く能率も悪くストレスも溜まる。では、なぜ企業はサラリーマンに同じ仕事を続けさせずに異動させるのであろうか。

一つには、不正等の防止があろう。ある人がある仕事の専門家になりすぎると、「社内であの仕事がわかるのは彼(女)しかいない」といった仕事が出来てしまうかもしれない。そうなると、彼(女)が不正を働いても、他の人が誰も気づかないかもしれない。あるいは彼(女)が病に倒れたり退職したりすると、後任者が何もわからない、という事態に陥りかねないのである。

嫌な上司がいても、「しばらく我慢すれば上司か自分が異動する」と思えば辛抱できる、という事もあるかもしれない。

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最終更新:6/26(日) 6:00

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