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レッド・ツェッペリン『天国への階段』盗作裁判、判決前の法廷での内幕とは

ローリングストーン日本版 6/26(日) 17:00配信

米国時間6月23日(木)名作『天国への階段』の作曲クレジットおよび収益にかかる著作権侵害訴訟は、 レッド・ツェッペリン側の勝訴に終わった。ここでは審議6日目の法廷での模様のレポートを紹介する。

レッド・ツェッペリン、『天国への階段』盗作訴訟に勝訴

名作『天国への階段』の作曲クレジットおよび収益にかかる著作権侵害訴訟は、米国時間6月22日(水)の朝から評議に入った陪審の評決に委ねられることとなった。

"マイケル・スキッドモア v. レッド・ツェッペリンその他"裁判事件の審議6日目(ここで"その他"とは、被告企業アトランティック・レコーズ、ライノ・レコーズ、ワーナー/チャペル・ミュージックのことを指す)、エドワード・R・ロイボール連邦政府庁舎連邦裁判所の第850号法廷で、両陣営は最後の弁論を行った。ゲイリー・クラウスナー(Gary Klausner)裁判長は、原告(スピリットの楽曲『トーラス』の作曲者ランディ・"カリフォルニア"・ウルフの管財人)の代理人である訴訟弁護士とツェッペリンの弁護団にそれぞれ45分間を割り当て、8人の陪審員を説得するように命じた。

原告側のお騒がせ弁護士、フランシス・マロフィ(Francis Malofiy)は、これまでで最高のパフォーマンスで弁論を行った。先に提示してきたさまざまなテーマを、わかりやすく、力強く、簡潔にまとめ上げ、話が脱線して収拾が付かなくなることもなかった(この訴訟が始まって以来、クラウスナー裁判長は繰り返し、マロフィの尋問に対する相手側弁護士の異議を認めている)。「この事件の問題点はたった1つ、作曲クレジットなのです」とマロフィは語り始め、原告が求めているのはウルフの作曲クレジットと、『天国への階段』のロイヤリティの3分の1であると強調した。「これは盗作なんです。クレジットには、しかるべき人名が明記されるべきです」

『トーラス』と『天国への階段』の重大な類似性とは

マロフィは、『トーラス』と『天国への階段』には、半音階ずつ下がっていくコード進行の活用が非常に独特で独創性に富み、それが記憶に残るという点で重大な類似性があるという、原告側鑑定人の証言を繰り返した。マロフィはまた、ジミー・ペイジとロバート・プラントの記憶は都合のよいものであると攻撃、「あなたたちの記憶は、今と1969年や1970年の頃と、どちらが良いのか」と問いただしている(ツェッペリンのメンバーは当時、スピリットの楽曲についての知識や興味、スピリットのライヴを見たかどうかについて、今回の証言とは異なる内容のインタヴューを残している)

こうした当時のインタヴュー音声および出版物に加えて、ツェッペリンがスピリットの楽曲『フレッシュ・ガーベッジ』をカヴァーしていることが、ツェッペリンがスピリットのレコーディングに"アクセス"していた動かぬ証拠であると原告の目には映っているのだ。マロフィはまた、ペイジがスピリットのアルバムを5枚所有しており、中には『トーラス』が収録されている1968年発売のセルフタイトルのデビューアルバムもあること、ペイジの今回の証言が、『天国への階段』のイントロはイギリスのウェールズにあるコテージ、ブロン・イ・アーで書かれたとするツェッペリン伝説と大いに矛盾しているのは「完全な歴史の書き換え」になっていることを指摘している。

マロフィはまた、損害額の査定に鑑定人を召喚できなかったことで、被告側の神経を逆なでした。彼は陪審員に、査定損害額には広い幅があるが、『天国への階段』がツェッペリンの作品中もっとも有名な楽曲であるという事実を勘案すると、推定粗利益1,000万ドルの"中間辺り"であろうなどとしている。

とはいえ、マロフィの最終弁論にはおかしな理屈や珍場面も見られた。彼は依然として、法的効力には疑問の残る"ジミー・ヘンドリックス防御法"にこだわり、若い頃のウルフがギターの神と親しかったことを強調し続けた(マロフィがかつて、ロックンロール・ホールオブフェイムをロックンロール史をねつ造した"として訴え、今回の裁判でもツェッペリンに対して同じことを繰り返し主張していることを思えば、驚くにはあたらない)

マロフィはさらに、ジミー・ペイジの作曲能力は、"他人の音楽"を演奏する"セッション・ミュージシャン"時代に損なわれてしまっているとのバカげた主張を繰り返した。マロフィはどうも、今回の事件に合否判定方式で臨んでいるのではないかと思われた、反論の中で彼は陪審員に、まるで彼自身が人間版の正義の物差しになったかのように、腕を伸ばし、身体を傾けながら、自分は51%勝てばよいだけなのだと語っている。

被告側の主任弁護士、ピーター・アンダーソンも最終弁論でユーモラスなところをみせて議論をうまく運んだ。「まずここからお話を始めたいと思います。(マロフィはこの事件が)聖書の6語、"はじめに神は創造された(In the beginning God created)"で言い尽くせる、としていました。マロフィは6語だと約束しましたが、実際には約束は5語しか果たされませんでした。そしてこの裁判の期間中、彼はほかにもたくさんの約束をしましたが、それらもやはり果たされませんでした」

とはいえ、アンダーソンにも序盤戦ではいくつか失敗をやらかしている。彼は、『トーラス』の著作権は実際にはホレンベック・ミュージック(Hollenbeck Music)(伝説の音楽プロデューサー兼興行主ルー・アドラーの音楽出版社)が所有しているとの主張を繰り返していたが、クラウスナー裁判長はアンダーソンの議論は無効とし、陪審員に対して、『トーラス』の著作権はランディ・ウルフの管財人が現に所有していると指示を出した。

アンダーソンはまた、管財人ではなく、ウルフの息子、クイン・ウルフ(Quinn Wolfe)がウルフの真の相続人かもしれない、との考えを繰り返し述べて、法廷出廷者を凍り付かせた。クラウスナー裁判長は、その論点は、アンダーソンが原告代表のマイケル・スキッドモアを尋問した際に、すでに法的には証拠として認められないことが確定しているとして、アンダーソンを戒めている。

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最終更新:6/26(日) 17:00

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