ここから本文です

ヒラリーが大統領選で“禁断”の言葉をとうとう口に

JBpress 6/26(日) 6:00配信

 6月中旬にフロリダ州のナイトクラブで発生したテロ事件後、米国大統領選で民主党の指名が確実となったヒラリー・クリントン候補が、それまでテロへ言及する際に使わなかった「イスラム」という言葉を「これからは使う」と宣言した。

 共和党側のドナルド・トランプ候補は選挙戦の中で「クリントン氏もオバマ大統領も、イスラム過激派のテロを語る際にイスラムという言葉を使わず、問題の核心をぼかしている」と非難していた。クリントン氏はこの非難に応じる形となった。

 それに対してオバマ大統領はあいかわらず「イスラム」という名称を使おうとしない。だが、クリントン氏のこの変化が、今後の米国のテロ対策に影響を及ぼしていくとの見方もある。

■ 米国で続くイスラム過激派によるテロ

 6月12日未明にフロリダ州オーランドの同性愛者向けナイトクラブで起きた大量殺害事件の実行犯、オマール・マティーンは、アフガニスタン系の両親のもと、米国で生まれた。イスラム教信者であり、しかもイスラム原理主義のテロ組織のIS(イスラム国)への忠誠を誓っていた。同性愛がイスラム教の教えに反する行為として、日ごろから激しく反発していたという(一方で、実は本人が同性愛者だったという報道もある)。

 オバマ大統領は、49人の死者が出たこの殺戮を「テロと憎しみの行為」と糾弾した。だが従来どおり「イスラム」という言葉は一切使わなかった。クリントン候補も、実行犯のイスラム過激派とのつながりやその思想への傾倒は明らかだったにもかかわらず「イスラム」という言葉を使うことを避けてきた。

 近年の米国では、明らかにイスラム過激派とつながりのある、あるいは影響下にある人物による大量殺人のテロ事件が続いている。

 2015年12月にはカリフォルニア州のサンバーナーディーノの福祉施設で、3人の男女が銃を乱射して14人を殺した。この事件の主犯の男女はイスラム過激派だった。

 2009年11月にはテキサス州のフォートフッド陸軍基地で、イスラム教徒の軍医少佐が無差別に銃を撃ち、13人の米軍関係者を殺すという事件があった。この犯人も、米軍のイラクなどでの軍事行動を「イスラム教徒を殺す作戦だ」として非難していた。

■ トランプは「不当なイスラム隠し」と批判

 イスラム過激主義の思想が明白なこれらの事件に関して、オバマ大統領は犯人を厳しく非難しながらも、「イスラム過激派」や「イスラムテロ」というような表現は一切使っていない。オバマ政権の第1期に国務長官を務めたクリントン氏も、民主党リベラル派としてオバマ大統領の対応に従っていた。

 オバマ大統領がイスラムという言葉を使わないのは、「テロに断固として反対するイスラム教徒が大多数であり、テロとイスラム教を直結させることは避けたい」という考えからだと言われてきた。さらに、オバマ大統領は父や祖父がイスラム教徒なのでイスラムには寛容なのだという指摘もあった。

 これに対して共和党系や保守系の識者たちは、「この種のテロの動機には明らかにイスラム過激派の思想が作用している。犯人たちもイスラムテロ組織のISなどとのつながりを明確にしている。それにもかかわらず『イスラム』の要素を隠していては、効果的な対テロ対策を行えない」と批判していた。

 特にトランプ氏は、オバマ氏やクリントン氏のイスラムに対する態度を「不当なイスラム隠し」と批判し、偽善であり危険だと攻撃してきた。

1/2ページ

最終更新:6/30(木) 10:05

JBpress

記事提供社からのご案内(外部サイト)

JBpress PremiumはJBp
ressが提供する有料会員サービスです。
新たな機能や特典を次々ご提供する“進化
するコンテンツ・サービス”を目指します。