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もう元に戻せない……EU離脱後のイギリスを考える4つのポイント (JB SAITO マサチューセッツ大学MBA講師)

シェアーズカフェ・オンライン 6/27(月) 5:34配信

■半世紀近くも続いたUKのEU内における絶妙なポジション

イギリス(以下UK)のEU離脱が国民投票で決定しました。

実はUKは、41年前にも離脱・残留を決める国民投票をおこなっていました。EUの前身であるEEC加盟後、EEC加盟反対派の要求を受けて国民投票を行いましたが、その時はEECへの残留に決まりました。

EECへの参加に反対する理由は、UKの国権が失われることにありました。そこで、UKは欧州国家統合への参加をしながらも国権を維持するため、UKは自国通貨発行権を保持し、シェンゲン条約にも加盟せずに、欧州内で発言権を持つという絶妙な立ち位置を取り続けていました。

■根が深かった労働者階級の怒り
投票から開票、そしてその結果が出るまでの間、誰もが固唾を飲んで見守っていたと思います。そして、多くの予想を裏切る結果だったのではないでしょうか。投票結果を覗いてみると、離脱派51.9% vs残留派 48.1%という僅差。残留希望が多かったエリアはロンドンの周辺のほかスコットランド、アイルランド等の都市のみにとどまりました。

経済政策と移民問題から端を発したこの国民投票の結果は、EU加盟のメリットよりも、長年移民問題で生活が改善されない大都市郊外の労働階級の声に負けてしまったという感じでしょう。EU加盟のメリットをよく理解しないまま、労働階級層が近視眼的そして感情的に動いてしまったのは、これら移民問題が相当根が深いものだったということを物語っているのかもしれません。

結果として、UKは半世紀近くも続いたEU内の絶妙なポジションを手放すことになりました。

UKのEU離脱後については、いまだ不確定要素だらけなのですが、この歴史的な決断による世界経済への影響について少し整理をしてみたいと思います。

■UK発 今後の展開1 他国との貿易協定
まず一つ目に、UKは、EUをはじめ様々な国とのFTA(自由貿易協定)や欧州自由貿易協定(EFTA)等の締結についてやり直す必要がある点です。UKは、EUに対する輸出依存が50%弱と高く、協定破棄による直接的な影響は大きいでしょう。また、関税面に対しての優位性が失われると、UK国内の企業が他国に流出することにもなります。このような産業の空洞化を止めるためにもUKにとってはやはりFTAやEFTA等の新たな手続は必要になるのです。しかし、一から調整するとなると、作業負荷という点からかなりの時間がかかるのではないでしょうか。
一方でUK輸出依存率が10%前後と高くない、EUにとっては離脱による貿易の影響は小さいと思います。

ちなみに、時間的余裕が失われてしまう中、UKがEU離脱申請をすぐにおこなうか?という点には注目です。UKがEUの離脱申請をすると、その日から2年以内にリスボン条約(50条)に従って離脱を進めていかなければなりません。

しかし、当条約には“いつまで”に離脱申請をしなければいけないというタイムフレームは明記されていないのです。そのため、UKは多少の時間稼ぎをすることになるかもしれません。

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最終更新:6/27(月) 5:34

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