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銀行員は皆知っていた、アベノミクスで貸し出しが増えない理由。 (塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 6/27(月) 5:46配信

黒田日銀総裁は、就任に際し、2年で2%のインフレを達成すると宣言しましたが、達成時期は大幅に後ろ倒しされていて、未だに見通しが立っていません。そこで今回は、2年で2%が達成できると考えた根拠と、それが誤りであった事について記していきます。

最初に、経済初心者向けの解説を記しますので、一般の方は飛ばしてお読みいただいても結構ですし、復習のために一読していただいても勿論結構です。

■日銀総裁は消費者物価指数を上げたいの?・・・経済初心者向け
消費者物価指数というのは、私たちが消費している様々な物やサービスの値段が全体としてどれくらい上がっているのか下がっているのか、調べた統計です。消費者物価指数の上昇率をインフレ率と呼びます。つまり、インフレ率を上げたいという事は、物やサービスの値段を上げたいということです。それは困る、と思った人も多いでしょう。では、なぜ黒田日銀総裁は物価を上げたいと思っているのでしょうか。

それは、インフレの反対すなわちデフレになると、景気が悪くなって失業が増えてしまうからなのです。物価が毎年上がっている国では、もしも金利がゼロならば、借金をしてでも来年買う予定の物を買う人が大勢いるので、物がよく売れて、景気が良くなります。

一方で、物価が毎年下がっている国では、金利がゼロだとしても、借金をせずに来年まで待った方が得ですから、物を買う人が少なく、景気が良くなりません。金利から物価上昇率を差し引いた値を「実質金利」と呼びますが、物価が下がる国では実質金利が高くなるので、物が売れないのです。

なお、現在日銀はマイナス金利を導入していますが、これは異例のことですから、通常は金利はゼロより下がらないと考えておいて良いでしょう。

他にも、物価が下がると、既に借金をして設備投資をしてしまった会社が、製品が安くしか売れず、一方で銀行はデフレでも借金は減らしてくれず、倒産に追い込まれる場合もあるでしょう。

■物価が下がるのは困るとして、ゼロじゃダメなの?・・・経済初心者向け
日銀は、物価を下げるのは得意です。物価を下げようと思ったら、金利を高くして景気を悪くすれば良いからです。景気が悪くなれば、買い注文が減るので物の値段は下がります。一方で、物価を上げるのは日銀にとって難しいのです。物価が下がっている時は人々が買い物をしないので、景気がよくならず、物価も上がらないのです。

日銀は、インフレの目標どおりに物価を調節できるわけではありません。どれくらい景気を上げるとどれくらい景気が悪くなって物価がどれくらい下がるかを正確に予想することは無理だからです。

従って、目標を定める時には、目標から外れる可能性も考えておく必要があります。日銀がインフレ目標を2%に定めたとして、結果としてインフレ率は0%から4%の間になるとしましょう。特に大きな問題は起きません。

しかし、日銀がインフレの目標を0%に置いたとしましょう。インフレ率が2%になれば、これをゼロにする事は難しくありませんが、インフレ率がマイナス2%になってしまった場合には、これを目標の0%に戻すのは大変なのです。

そうした事を総合的に考えて、黒田日銀総裁はインフレ率を2%にする、という目標を立てたわけです。消費者にとっては迷惑な話ですが、日本経済が元気にならないと、消費者の収入も増えませんから、仕方ないですね。

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最終更新:6/27(月) 10:16

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