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「クラッシュ・オブ・クラン」買収、中国テンセントが狙うゲーム市場の覇権

Forbes JAPAN 6/27(月) 7:30配信

グローバルゲーム市場で勢力拡大を図る中国のテンセント(騰訊)がフィンランドのゲーム会社スーパーセル(Supercell)を買収した。これは同社にとって良い買い物と言えそうだ。



テンセントは20日、人気モバイルゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」や「ブーム・ビーチ」のデベロッパーであるスーパーセルの株式の84.3%を86億ドル(約8,990億円)で取得すると発表した。72.2%はソフトバンクから、残りの12.1%はスーパーセルの従業員から取得する。スーパーセルの現在の評価額は102億ドル(1兆660億円)となっている。

今回の取引はテンセントにとって、過去最大の海外ゲーム会社買収案件となる。テンセントはこれまで米ゲーム会社Pocket Gemsに6,000万ドル(約63億円)、米エンターテイメント会社Glu Mobileに1億2,600万ドル(約132億円)、韓国のCJ Games Corpに4億9,400万ドル(約516億円)を出資した。また昨年、人気オンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンズ」の開発元である米Riot Gamesを完全買収した。

ゲームで世界進出の強力な足がかりに

スーパーセルによると、同社は1億人のアクティブユーザーを擁している。IHSのアナリスト、ツイ・チェンユー(崔晨宇)は「テンセントはスーパーセルの買収によって、欧米でモバイルゲームを展開する大きな足掛かりを得た」と分析する。野村證券のアナリストによると、グローバルオンラインゲーム会社の平均PER(株価収益率)が16~20なのに対し、スーパーセルの2015年の売上高に基づくPER(株価収益率)は10で、テンセントにとってはお得な買い物だったと言える。

テンセントは海外事業の拡大を必要としている。中国のゲーム市場は近年、急成長を遂げたが、その勢いは減速に向かっている。IHSによると今年の中国ゲームマーケット規模は84億ドル(約8,780億円)と予測され、前年比18.4%増となっている。しかし、その成長率は2017年に8%、2018年には6.5%まで縮小する見込み。アムステルダムの調査会社NewzooのCEO ピーター・ウォーマンによると、今年のスーパーセルのアジア以外での売上高は20億ドル(約2,090億円)を超える見通しで、それはテンセントの昨年のアジア以外の売上高13億ドル(約1,360億円)より多い。
--{スーパーセルの開発力に疑問も}--
しかし、スーパーセルは2010年の設立からわずか4作品しかリリースをしておらず、将来性には懸念が残る。これまでの作品は発売後数カ月でヒットしたが、その人気には最近陰りが見られる。米アップルiOSストアのゲームダウンロードランキングで、昨年首位を快走していた「クラッシュ・オブ・クラン」は、今は25位まで落ちている。

スーパーセルはリリース済みの作品のアップデートやマーケティングよりも新作により多くのリソースを投じるため、旧作のユーザーが減るのは仕方ないとの見方もある。上海の調査会社のアナリストは「スーパーセルはほかの独立系ゲーム会社よりはるかに高い開発力を持っている」と評価した。

一方、HISのツイは「プレイヤーの嗜好が変わりやすいオンラインゲームの世界で、スーパーセルがこれまで通りの勢いを維持できるかは不透明だ。スーパーセルの今後の作品が、これまでの成功を継承できる保証はない」と語った。

Yue Wang

最終更新:6/27(月) 7:30

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