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カメルーンにうまい米を!米作り伝道師の挑戦

JBpress 6/27(月) 6:00配信

 手慣れた手つきで現地のスタッフが、収穫したモミをブルーシートに広げる。

 「十分に乾燥させ、モミの水分量がある程度になったら、品種ごとに袋に入れ倉庫に保管します。これらは、来年、現地の農家に種もみとして配ります」とJICA(国際協力機構)専門家の松本俊輔氏は説明した。

 周囲の畑にはたくさんのモミを付け、頭を垂らした稲が植えられている。畑近くの樹々からはモミを狙っているのだろうか。しきりに鳥の鳴き声が聞こえてくる。

 ここはカメルーンの首都ヤウンデから車で20分ほどの距離にあるJICAの試験農場だ。

  カメルーンは西アフリカに位置し、ナイジェリア、中央アフリカ、コンゴ、ガボンといった国々と国境を接する。1人当たりGDPは約1300ドル、GDPの4割を農業が占める農業国だ。豊かな自然に恵まれるカメルーンは、食料の多くを輸入に頼るアフリカの国々が多い中、数少ない食料自給を達成している国である。

■ JICA専門家の挑戦

  松本氏はこの地で稲作の普及に挑戦している。松本氏は大学を卒業後、海外青年協力隊員として2年間、西アフリカのブルキナファソに滞在し、その後、ウガンダでJICA専門家として稲作の普及を担当した。

 ウガンダでのプロジェクトの後、2年前から「カメルーン国 熱帯雨林地域陸稲プロジェクト」に加わっている。松本氏はこのプロジェクトで、現地にあった稲の種子生産や栽培技術を検討し、カメルーン農水局の担当者にその技術を指導する役割を担当している。

 試験農場では、さまざまな品種が育てられている。品種ごとに区画を分け、「ARICA」「JASMINE」など品種名が書かれた立札が並ぶ。中には日本人になじみの「KOSHIBUKI」「KOSHIHIKARI」といった表記も見える。鳥よけの網の下には、ぎっしりとモミを付けて頭を垂らした稲穂が見える。

  私が試験農場を訪問した日は、収穫量調査のために稲の収穫をしていた。稲の葉に書かれた番号を確認しながら、現地スタッフが刈った稲穂をそっと封筒に入れる。

 収穫量調査ではバイアスがかからないように、株単位の高さ、穂の長さ、穂数を調べ、平均値を算出したのちに、その平均値に近い株をいくつかサンプリングして抽出する。そしてサンプリングしたそれぞれの株についているモミを数え、単位面積当たりの収穫量を算出するのだ。

 「日本で米と言えば、コシヒカリなど水田で栽培される水稲(すいとう)が一般的ですが、ここではまだ畑で栽培する陸稲(りくとう)が主流です。陸稲でも試験農場では1ヘクタールあたり3トンほどの米を収穫することができます。水、水や土に含まれる養分、日照、気温などのカメルーンの自然環境は、稲作に合っていると思います」

 もっとも、現在のように収穫できるようになるまでには、数年の時間を必要とした。

 ここを含め、カメルーン国内には、現在3カ所の試験農場がある。それらの土地を開墾し、畑を作るところから始まり、品種別、育成方法別に稲を育成し、3年程度かけて収穫量などのデータを収集する。

 こうした地道な研究によって現地に適した品種や栽培方法を導き出し、マニュアル化したのちに、カメルーンの農家に栽培を指導している。

 松本氏は「最終的には収穫した米を市場に出すことで、農家の収入確保ができるようになればと思っています」と彼らが目指すゴールを語った。

■ ビジネスモデルを築けるか

 では、稲作栽培の研究結果は実際にどのように現場に生かされているのか。去年からJICAの指導で稲作を始めたという農家を訪問した。松本氏の同僚で農家への稲作普及を担当する椎名卓氏にヤウンデから車で1時間、オバラ村の農家を案内してもらった。

 5ヘクタールはあるという広々とした土地に、約30センチの間隔で整然と畝(うね)が作られ、ネリカという陸稲が植えられている。種まきから1カ月が経過し、20センチほどに育った稲は青々として、風が吹くと小波のように揺れた。

 ここで稲を育てるビオゴロ氏は、この他にパーム油の生産も行っており、11人のスタッフと共に彼の農場を管理している。収穫した米は販売することを考えているという。きちんと管理された想定以上に広い畑を見て、正直驚いた。

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最終更新:6/27(月) 6:00

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