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【よくわかる講座:メンタルヘルス】6.今後の課題~「攻め」のメンタルヘルスに向けて

日本の人事部 6/28(火) 7:30配信

(1)これからのメンタルヘルスへの考え方

●「守り」から、「攻め」のメンタルヘルス対策へ

メンタルヘルス対策は、不調になった人をケアして治す、ということだけに限らない。むしろ、メンタル不調者は組織の中ではごく一部の存在であり、多くの人たちはさまざまな問題を抱えながらも、元気に働いている。その大多数の人たちがメンタルヘルス不調を起こさないよう、一人ひとりをどう活かしていくかを考えることが重要だ。それがメンタルヘルス不調を事前に防止し、組織活性化にもつながっていくことになるからだ。従業員全員の活性化を目的にしたメンタルヘルス対策によって、誰もがイキイキと働き、仕事にやりがいを持ち、自分が活かされていると感じることができる。まさに「心の健康」が満たされた状態と言えるだろう。

現在の職場には多様な「ストレス要因」が山積しており、これらを全面的に排除していくのは難しい。これまでのような「守り」に重点を置いたメンタルヘルス対策だけではなく、避けることのできないストレスならば、それとうまく付き合うことを考えてみてはどうだろうか。守るだけではなく、「攻め」の姿勢が不可欠なのである。そういう視点から、これからのメンタルヘルス対策を考えていく必要があるだろう。

●「ポジティブ・メンタルヘルス」のススメ

「攻め」のメンタルヘルスが注目されるようになったのは、「ポジティブ心理学」の発達によるところが大きい。ポジティブ心理学が誕生したのは1998年のこと。うつ病と異常心理学に関する世界的権威であるマーティン・セリグマンが提唱した新しい学問である。これまでの心理学が、人間の弱いところに着目し、それをどう無くしていくかという発想の下で研究が進んでいたのに対し、ポジティブ心理学は、「人は誰でも強みを持っている。そこに注目し、さらに強化し、伸ばしていくことが人の幸せにつながっていく」という考え方に立つ。

このようなポジティブ心理学の下、病気にならないためにどうするのか、病気になった人にどう対処するのかについて考える従来の「病理モデル」ではなく、働く人の心の健康増進、心の成長モデルを大切にしていこうとする動きが活発化してきたのである。そして、社員一人ひとりのパフォーマンスやモチベーションが向上し、キャリア開発につなげていこうという「ポジティブ・メンタルヘルス」という考え方へと、メンタルヘルス対策の流れが変わってきているのが最近の状況である。

●「ワーク・エンゲージメント」を高める

そうした中で注目されているのが、仕事と個人とのポジティブな関わりを表す「ワーク・エンゲージメント」というメンタルヘルス活動における新しい指標だ。ワーク・エンゲージメントの高い状態とは、以下の三つの要因が揃っていることである。

●熱意:仕事に誇り、やりがいを感じている
●没頭:仕事に熱心に取り組んでいる
●活力:仕事から活力を得て、イキイキしている

つまり、仕事を楽しむと同時に、その仕事を有意義だと感じて、自ら現実的な目標を持つことができ、自己評価も高いといった状態である。このようにワーク・エンゲージメントの高い人は、活力にあふれ、積極的に仕事に関わるといった特徴がある。一方、ワーク・エンゲージメントの対概念である「バーンアウト(燃え尽き症候群)」に陥ると、仕事への意欲や関心、自信を失い、疲弊しきってしまうことになる。また、「ワーカホリズム(仕事中毒)」は、仕事をしていないとどうしても落ち着かないため、仕方なく没頭している状態。ワーク・エンゲージメントの高い人が、その仕事が好きだから、楽しいからといった理由で前向きに取り組んでいるのとは、似て非なるものである。

また、先行研究によると、ワーク・エンゲージメントの高い人は、心身ともに健康だけでなく、仕事に前向きに取り組む、自発的に行動する、職務や職場への満足感が高いなど、組織の活性化や生産性向上に資する傾向を示すことがわかっている。その結果、ワーク・エンゲージメントを実現した職場では働く人がストレスを感じることなく、心身の健康度と組織としての生産性・パフォーマンスが両立することになる。

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最終更新:6/28(火) 7:30

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