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後発中国に抜かれたバングラデシュの日本語人気

JBpress 6/28(火) 6:15配信

 アジアの新興国バングラデシュで、「第二外国語」をめぐって日中韓が激しい綱引きを展開している。

 国際交流基金の調査によれば、バングラデシュでは高等教育レベルで人気のある言語は、(1)英語、(2)フランス語、(3)ドイツ語、(4)中国語の順で、日本語は5番目だという。そこに、近年は韓国語の人気が高まってきた。これまで「バングラデシュは親日国だから日本語熱が高い」と言われていたが、様相が変わってきたようだ。

■ 日本語学習の脱落者が続出

 バングラデシュにおける日本語教育の歴史は1970年代初頭にさかのぼる。1971年にバングラデシュが独立し、日本国大使館が置かれると、大使館内に日本語学校が設立された。また同年、ダッカ大学で日本語の授業がスタートし、74年には同大学に「現代言語研究所」が設立された。

 90年代に入ると、ラジシャ大学やジャハンギノゴル大学などでも日本語の授業が始まった。96年には、ダッカ大学が「ダッカ大学日本研究センター」を設立。2000年~2010年代にかけては3つの大学で日本語コースが開講し、初級レベルの日本語を教える民間の教育機関が30校を超えるまでになった。

 こうして見ていくと、バングラデシュで日本語の人気がますます高まっているように思える。

 ところが現実は異なるようだ。ダッカ大学の「現代言語研究所」について調査を行った日本のある私立大学教授は、最近の実情についてこう語る。「現代言語研究所では日本語を含む18の言語を学ぶ機会を提供しています。日本語を研究しようとするバングラデシュ人は多いのですが、実はドロップアウトする者も多いのです」

 その大きな理由の1つとして、中国語や韓国語を学ぶ学生と比較すると、日本語を学ぶ学生はモチベーションが低いことが挙げられる。

 まず、日本はバングラデシュにとって最大の経済援助協力国だが、その実績を十分にアピールできていない。残念ながらバングラデシュにおいて日本の存在感は中韓に劣っていると言わざるを得ない。

 またバングラデシュでは、中国や韓国の企業に比べ、日本企業による雇用の機会も多いとは言えない。民間の人的交流においても「歴史的な積み上げが不足しており、その広がりに欠ける」(ある私立大学の名誉教授)。日本語を学習する人材が少ないのは、そうした日本とバングラデシュの距離の隔たりを象徴するものだとも言える。

 さらに、中国や韓国は学生に資金を援助し自国に招いて研究させるプログラムを実施しているが、日本にはそういうプログラムがない。バングラデシュでは中間層が育ってきているとはいえ、日本に留学すれば大きな費用がかかる。資金援助の恩恵にあずかれる中国、韓国のプログラムを選ぶのはバングラデシュ人にとって自然な選択と言えるだろう。

■ 思い通りの発展はできなかった日本研究センター

 世界には、日本に関する専門研究機関を設ける大学が少なくない。バングラデシュでも、1996年にダッカ大学が「ダッカ大学日本研究センター」を開設した。だが、開設から20年を経た今、内部からは「思い通りの発展はできなかった」という声が漏れ聞こえてくる。

 同センターは、2006年に日本研究修士課程を対象にした日本語初級コースを開講した。しかし、日本語を学ぼうという学生は期待ほどには増えず、「センターはいまだに事務所が1部屋、研究室が1部屋あてがわれている程度に過ぎない」と関係者は話す。

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最終更新:6/28(火) 6:15

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