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「身体で覚える」とは一体どういうことか

JBpress 6/28(火) 6:00配信

 (文:峰尾 健一)

 何やらそそられるタイトルだ。とらえどころのない「こつ」と「スランプ」の正体に、いかにして迫っていくのか。そもそも、それらは研究できるものなのか。期待と不安が入り混じるまま読み進めた先に待っていたのは、思わぬアプローチと意外な着地点だった。

 実は、「こつ」や「スランプ」についての話は本書『「こつ」と「スランプ」の研究 身体知の認知科学』の一面に過ぎない。研究対象とされているのはより広い領域、「身体知」である。

 身体知とは、シンプルにいえば「からだに根ざした知」だと著者は言う。自転車の漕ぎ方やゴルフのドライバーなどが分かりやすい例だ。いわゆる「暗黙知」との違いは明確に書かれていないが、読んだ限りでは、「からだで理解する」というニュアンスをより強調した言い方が「身体知」だと思われる。

 「からだに憶え込ませる」という言い回しがあるように、身体知は反復練習の中で徐々に感覚を掴むことで身につくもので、一見「ことば」は邪魔なように思える。自分の経験に照らし合わせてみても、うまくいかない時ほど脳内にことばが氾濫し、ああだこうだと考えていた気がするのだ。

 しかし本書で一貫して繰り出されるのは、「身体知を学ぶためにはことばが重要な役割を果たす」という主張である。

■ 999回のボウリングで分かったこととは

 とある学生が、自分を被験者にしてボウリングのスキルを学ぶプロセスを観察・分析した研究が紹介されている。約9カ月の間に204日ボウリング場に通い、なんと合計999回(! )ものゲームをこなしたのだそうだ。そしてボウリングをやった日には必ず、またそれ以外の日でも気づいたことがあればその都度、ノートにことばを書き綴った。

 何を意識しながら投げたのか、そこでどんな問題意識が生まれたのか、次はどのような意識で投げるのか。身体での実践を通して、体感をことばで表現し、自己の問題意識を紡いでは、また身体で実践する。その繰り返しの末に、興味深い研究結果が得られた。

 「ノートに綴ったことば」と「ボウリングのスコア」との間に、相関が生じたのだ。

 パフォーマンスが向上しない時期には、詳細な身体部位に留意する類のことばがよく出現した。一方で、パフォーマンスが向上する時期には詳細なことばが減り、全身や大きな身体部分を表すことばの割合が増えている。そして、そうした「悪い時期」と「良い時期」が交互に繰り返されたという。

 この結果から、やはりことばが少ない方が調子が良いじゃないか、と考えるのは早計だ。著者は以下のように解釈している。

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最終更新:6/28(火) 6:00

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