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映画に憑かれた男たちの「狂気と侠気」の物語 『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』 (春日太一 著)

本の話WEB 6/29(水) 12:00配信

去る6月14日、東京八重洲ブックセンター本店にて、『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』の文庫化記念トークイベントが開催されました。時代劇から「仁義なき戦い」まで――東映に集結した映画人群像を描き上げた時代劇・映画史研究者の春日太一さんのお相手は、単行本時から本書を激賞し、このたびの文庫に解説を寄せた水道橋博士さん。90分にわたって繰り広げられた熱い対談の模様の一部をお届けします。

春日 お会いするのは1年ぶりくらいでしょうか。「マッドマックス」を劇場で観たときに。

水道橋 ああ、ユナイテッド・シネマとしまえんで。あれは偶然でしたよね。

春日 それにしても今回は、本当に素晴らしい解説を寄せてくださり、ありがとうございました。博士さんに認識していただいたのは、文春新書の『天才 勝新太郎』をご高評いただいて以来ですが、いつか博士さんに文庫解説をいただきたいと思い続けていたんです。ついにこの時が来ました。

水道橋 3月に解説を書き上げたんだけど、今年は正月からずーっと春日太一のことを考えてましたからね(笑)。国会図書館にある春日さんの「博士論文」も探しましたから。博士が博士論文探すって……、と思いながら。

春日 ありがとうございます。最初に書き上げていただいた解説は2万字になったと聞いていますが……。

水道橋 もしかしたら、もっとあるかも(笑)。僕にとっての理想の文庫解説というのは、解説を読んだ人がその著者の過去作品を遡って読みたくなるようなものであり、未来の本すらも読みたくなるもの。だから、春日さんのデビュー作から今、執筆中の本まで触れている。本当に字数を収めるため言葉を選んで、何度も書き直してようやく辿り着きました。それも春日さんの10年に恥じないよう文士の気分で書いていました。ここに草稿がありますけど、これを文庫に納めるべく6000字まで削っていくのが大変だった。

春日 そこまでしていただいて感激です。著者冥利に尽きます。

水道橋 解説を書くにあたってまず確認したのは、単行本の表紙が文庫でも踏襲されるか、ということ。単行本の時から、この書影はいいんですよ、強くて。「書影に押される」って感覚を受けました。僕の解説は、読者が表紙を捲れば、すぐに東映的な怒涛の波に否応なく巻き込まれるイメージをトレースするところから始めました。

春日 この表紙は外せませんよね。カメラマンがわざわざ台風の日に犬吠埼に行って来てくれて撮影したものなんです。表紙に関しては、僕もいろいろと案を出したし、いろんな人の魂が込められている表紙です。

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最終更新:6/29(水) 12:00

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