ここから本文です

なぜ英国のEU離脱には悲観論が多いのか? (塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 6/29(水) 5:00配信

筆者は、英国がEUを離脱しても、世界経済への影響は軽微であると楽観視していますが、マスコミに登場する論者たちは悲観論者が圧倒的に多いようです。これにはマスコミやマスコミに登場している論者の事情が影響しているのです。今回は彼等の事情について考えてみましょう。

■不確実性が高まったことは事実
たとえば各国が次々とEUを離脱し、結局はEUが崩壊してしまう、というシナリオは、これまで空想上の物語として語られていましたが、英国がEU離脱を決めたことにより、あり得る可能性として真面目に議論されるようになってきました。

一つには、現実が変化した可能性です。具体的には「英国が離脱したなら我々も」という運動が活発化する契機となった可能性があることです。楽観派の筆者としては、スペイン総選挙のケースを見ても、他国が離脱する可能性はむしろ減ったようにも思えます。「軽はずみに離脱賛成票を投じると本当に可決されてしまう可能性があるから、慎重に投票しよう」という投票行動をとる他国有権者が増えるからです。しかし、今後何が起きるかわからない事は確かです。

今一つは、認識が変化したことです。これまで「あり得ない」と考えていたことが起きてしまったことで、「今まであり得ないと考えられていた事でも、実際には何が起きるかわからない」と人々が考えるようになり、そうなると様々なリスクシナリオが一気に「あるかも知れない」と思えるようになり、将来は不確実だ、と感じるようになったのです。

しかし、それだけでは世の中が悲観論一色に染まった理由として充分ではありません。そもそもマスコミで流れている論者の見解に悲観論のバイアスがかかっていることが原因なのです。以下では、そうしたバイアスについて考えてみましょう。

■論者には悲観論を述べるインセンティブがある
まず、悲観論を述べると、問題点やリスクを多数指摘することになるので、賢く見えます。反対に、「大丈夫ですよ」と楽観論を述べると、「これほどリスクが数多く存在しているのに、それにも気づかない愚か者なのか」と思われてしまうのです。筆者は比較的楽観論を述べることが多いので、そうした御批判はしばしば頂戴していますが、皆様に正しい認識を持っていただこうという使命感を持って我が道を突き進んでおります(笑)。

次に、悲観論の方が話に幅が出来るのです。「幸福な経済予測は一様に幸福であるが、不幸な経済予測はそれぞれに不幸である」というわけで、楽観論は「今後も何事もなく平和でしょう」の一言で終わってしまいますが、悲観論は「Aが転べばBも転ぶでしょうし、Cが転べばDも転ぶでしょう」という具合に様々なストーリーで聞き手を楽しませることができるのです。

1/2ページ

最終更新:6/29(水) 5:00

シェアーズカフェ・オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

シェアーズカフェ・オンライン(SCOL)

シェアーズカフェ株式会社

SCOLはマネー・ビジネス・ライフプランの
情報を専門家が発信するメディアです。
現在書き手を募集しています。特に士業や
大学教授、専門家を歓迎します。

なぜ今? 首相主導の働き方改革