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ラブホ取材し続けた異色編集者が語る「古き良きラブホが絶滅寸前」の理由

KAI-YOU.net 6/29(水) 22:20配信

6月11日から7月31日(日)まで開催中の「『神は局部に宿る』都築響一 presents エロトピア・ジャパン展」。会場である東京・渋谷のアートスペース・アツコバルー arts drinks talkには、ラブホテルや秘宝館、イメージクラブなど、日本独自のエロから生まれたクリエイティブが集結している。

【現存するユニークな都内のラブホテル関連画像】

自身のコレクションの展示をはじめ、展覧会を企画した写真家/編集者の都築響一さんに、目下「絶滅危惧種」というラブホテルの魅力を中心に話を聞いた。

海外も注目するラブホのオリジナリティ

そもそも都築さんがラブホテルを取材しようとしたのは、そこで繰り広げられる性の営みよりも、回転ベッドや鏡張りの壁、透明なバスタブなど、本来の目的とは無関係な方向に進化したデザインに興味があったからだ。

雑誌『ポパイ(POPEYE)』や『ブルータス(BRUTUS)』の編集を経て、現代美術・建築・写真・デザインの分野で執筆・編集活動を続けている都築さん。当時から交流があった海外の建築家やデザイナーの多くが、来日すると大抵「ラブホテルに行きたがる」という。

「建築、インテリアデザインとして、それだけの価値があるということです。“模倣が得意“といわれる日本人ですが、エロにおいては海外も注目する最高のオリジナリティを発揮します。実際、海外の建築家は、寝室を浴室の壁を透明にするとか、日本のラブホテルのエッセンスをデザイナーズマンションの建築に取り入れているんですよ。

それなのに、ラブホテルにスポットを当てた本が1冊もない。僕自身、昭和の香り漂うインテリアデザインに魅了されてから、どうにかこの価値を社会に発信したいと思っていました。

90年代後半に、おしゃれな建築雑誌の編集者から『何か一緒にやりませんか?』と話をもらったので、ここぞとばかりに『ラブホ特集にしよう!』と提案したんです。すると、以降、その編集者とは音信不通になってしまって(笑)。もう自分でやるしかありませんでした」

取材を始めたのは2000年前後。まだ、インターネットやデジタルカメラが普及する前の時代。事前のリサーチや撮影はすべてアナログだ。鏡張りの壁など、特徴的な室内の撮影には、写り込みを防ぐため、レンズ用の穴を開けた大きな黒い布を使用。当時ならではの工夫や苦労が垣間見える。

「アシスタントと2人でひたすらラブホテルに行って、各部屋が紹介されているエントランスのパネルを見て、面白そうだったら撮影を依頼する、というのを1軒ずつ繰り返してました。

印象的だったのは、ほとんど取材を断られなかったこと。どのホテルもオーナー個人が運営しているので、部屋のインテリア一つひとつに、尋常じゃない思い入れがあるんですよ。だからこそ、そのこだわりが表に出ることなく数を減らしている現状に、非常に悔しさを感じる人がたくさんいる。そういう人たちに、僕らの意図を説明すると、むしろ普通の施設などよりずっと協力的に撮影させてくれました」

苦労の末集められたラブホテル写真の数々は2001年、1冊の本『Satellite of LOVE―ラブホテル・消えゆく愛の空間学』(アスペクト刊)として発行された。ちなみにそちらは既に絶版となり復刊される予定もないため、現在ご自身の手で再編集・電子書籍化を進めているとのことだ。

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最終更新:6/29(水) 22:20

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