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仮想と重なり合う現実:VR元年の次はMR元年?

JBpress 6/29(水) 6:10配信

 今回は、最近注目されている「MR(Mixed Reality)=複合現実」についてお話ししたいと思います。

 プロダクトがまだ発表されていないにもかかわらず、時価評価額約5000億円と言われる話題のベンチャー「Magic Leap」やMicrosoftの「HoloLens」等、新しいMRテクノロジーの登場が近づいています。JALは今年4月に、HoloLensを活用したボーイング737-800型機の運航乗務員訓練生用トレーニングツールのプロトタイプを発表し、話題になりました。

 しかし、MRという言葉は決して新しい言葉ではありません。実は10年以上前から使われ、国内ではキヤノンが先行して、「MREAL」という製品を開発・販売しています。

 キヤノンのMREALは、独自開発のヘッドマウントディスプレイ、基盤となるミドルウエア、アプリケーションソフトウエア、各種空間センサーで構成されます。左眼用、右眼用それぞれのビデオカメラが捉えた映像とCGを合成。合成された映像は、目の前の何もない空間に表示され、実寸大のスケールで物体を見ることができます。さらに、現実世界に表示された仮想物の後ろや横への回り込みや、複数人による同時・同空間の共有も可能です。

■ 現実と仮想が融合した空間

 では、MRとは何なのでしょう?  ARやVRと何が違うのでしょうか? 

 ARは「Augmented Reality」の略で、拡張現実と訳されます。2008年に華々しくデビューし、一世を風靡した「セカイカメラ」(開発は頓智ドット社、2014年1月22日に全サービスを終了)や、アニメのドラゴンボールに登場する「スカウター」がARテクノロジーと考えると分かりやすいです。

 現実世界の視覚情報にコンピューターの情報を補完表示し、現実を拡張するものを指します。人の顔を認識し、画面上のその人の顔の上に名前を表示するデジタルサイネージや、テレビの水泳中継の世界記録を表した表示、また、スマートフォンのカメラを通して見るARマーカー(情報を表示させる位置の目印)による物体表示等があります。現実世界が「主」となり仮想が「従」となるため、現実の視覚情報が多くを占めます。

 一方、VRは「Virtual Reality」の略で、仮想現実と訳されます。コンピューターの作り出す仮想世界を眺めたり、物体を触ったりできるものを指します。このコラムの第1回でご紹介した「ソードアート・オンライン ザ・ビギニング」もVRです。

 こちらは、仮想世界が主となり現実が従となるため、いかに仮想を現実と錯覚させるかが鍵です。仮想世界と連動して動作する乗り物を用いたり、身体の動作をセンシングして画面に反映させたり、触覚フィードバックによって体感を与えたり、様々な試みがされています。仮想の視覚情報が多くを占めます。寝ながら見る夢は、まさしく究極のVRと言えるでしょう。

 では、MRとは?  これはARとVRの中間にあります。

 MRの長所は、現実の空間をハッキングできることに尽きます。空間の情報を生かしながら情報を表示できるため、空間そのものがメディアとなったような錯覚を生み出します。空間の主従は曖昧で、現実世界と仮想世界が融合した空間と言えます。

 そのために、MRテクノロジーでは、現実空間の位置をリアルタイムにセンシングする必要があります。壁の角度やテーブルの向きなどに合わせて、仮想世界を重ね合わせていきます。

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最終更新:6/29(水) 6:10

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