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都会の静寂を感じるミニ旅行「東京のお遍路」体験記

R25 6/30(木) 17:59配信

ここ数年で若者の人気も高まっている、四国八十八箇所の寺院を巡る「お遍路」。弘法大師・空海に縁のある寺院を回る巡礼の旅だが、四国は遠いから…と諦めている方も多いのでは? そんな方に朗報! 東京でもお遍路ができるらしいのだ。

「東京のお遍路は『御府内八十八箇所』といい、江戸時代、宝暦5(1755)年頃には開創されていたようです」

と教えてくれたのは、七十六番目の札所に当たる「真言宗豊山派 金剛院」の住職、野々部利弘さん。
「江戸時代にお遍路ブームが起こりましたが、江戸から四国までの道のりは長く、女性やお年寄りなど、すべての人が訪れることができたわけではありません。『それでもお遍路をしたい…』そうした信仰心から、江戸にあるお寺を四国八十八箇所に見立てたようです」(野々部さん)

実は、北海道から九州まで全国のところどころに同様の「お遍路」が開創されていた。身近な土地で巡りたい人のニーズに応えたわけだ。

そうした江戸時代の人々の気持ちに思いを馳せながら、まず訪れたのは品川駅から徒歩約15分、一番札所「高野山東京別院」。境内には奉納された祈願旗が多くはためき、笠を被った大きな弘法大師像がある。いやが上にも気持ちが盛り上がる。ここで御朱印帳を購入。この御朱印帳は、高野山東京別院のほか、インターネットなどでも多様な種類が販売されている。ここに御朱印を押してもらったらいよいよ東京版お遍路がスタートだ。
本来なら、一番から八十八番まで順繰りに巡りたいところだが、「神仏習合、区画整理、東京大空襲などで元の場所から移転した寺院も多く」(野々部さん)、番号順に巡るのはかなり時間がかかる。指定順通りにすべて回ることに必ずしもこだわる必要はないようだ。

そこで向かったのは、高野山東京別院から高輪の街を歩くこと約10分、両側に墓地が広がる幽霊坂を下った場所にある八十四番目の札所「五大山明王院」。源頼朝により開創された古寺で、江戸時代に建立したという本堂を前に静かな気持ちに。ここでも御朱印をいただく。

次に目指すは明王院の近く、桜田通り沿いにある六十五番目の札所「明王山大聖院」。この寺院、今では高層ビルに姿を変えていて、気づきにくいので注意が必要だが、よく見れば入り口に「大聖院」の名を発見できる。奥に進めば古い石仏も並ぶ由緒ある寺院である。
…と、ここでトラブルが。御朱印をいただこうとお寺の扉を叩いたが、鍵がかかっている。どうしたものかとあたりを見渡すと…お寺の方が対応できない時のためか、マンションの一室のドアノブに御朱印が押された紙がぶら下がっていた。御朱印代300円を入れるよう、書置きがあったためポストへ入れ、ここでも無事、ご朱印をいただいた(※)。
※お布施として、300円程度を紙に包むなどして収めるのが通例だとか

これらの寺の近くにあった八十番目の札所「真言宗豊山派 長延寺」にも立ち寄ったのち、杉並区にある八十八箇所目、札留の寺院「遍照山 文殊院」へ足を向けた。
御朱印をいただくため境内を進むと、快活な老夫婦と意気投合。ご主人・山田貢さん(81歳)は、亡くなった旧友を思いながら写経をするのが日課といい、現在その数は850枚に上る。そうして書いた写経をお寺に納めながらお遍路をしているのだという。お遍路の魅力について聞くと「お遍路をしているとこうした人との出会いがあり、それが魅力」と語っていた。本堂の前で一緒に記念撮影をした後、御朱印をいただき、今回の旅を締め括った。
改めて、前出の野々部さんにお遍路の注意点と魅力を聞いたところ、

「作法に関して言えばキリがありませんが、仏様を敬う気持ちを持ちながら、気軽に巡っていただきたいですね。忙しい時間の流れを止めて、自分と向き合うにはとてもよい機会になるはずです」

とのこと。今回は、金剛院も含めて6カ所だけだったが、お遍路という切り口で東京の街を巡ってみると、今まで歩いたことのない道を歩き、ふだんなら気づかない東京の静寂も感じられる。そして思わぬ“一路一会”もあった。ぜひ、お日柄のよい日などに歩いてみてほしい。

(森沢机)

(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびR25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

最終更新:6/30(木) 17:59

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