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【HRカンファレンス2016-春-」開催レポート】経営視点の人事~高橋 俊介氏(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授)

日本の人事部 6/30(木) 7:30配信

今まさに人事は、経営の根幹になりつつある。経営視点から人事を捉え、経営層へと積極的に働きかけて事業の成功をもたらすという組織人材マネジメントが、注目されているのだ。長年「経営視点の人事」に取り組んできた慶應義塾大学大学院の高橋俊介氏が、その考え方や基盤となる人材像、注意点などについて語った。

ダイバーシティに対する複数の視点

人事の歴史的な変遷をたどると、人事は昔からさまざまな機能を果たしていて、期待される役割によって、何を軸に人事をやるべきかという視点がいくつもあったことがわかる。高橋氏はまず、今回のテーマである経営視点ではないところの人事から、話を始めた。

「経営視点の人事が最近重要になってきていますが、今までの視点が全部不要になったという訳ではありません。歴史的に役割を終えたものはありますが、いまだに重要なものもあります。いろんな視点の引き出しを持ちながら考えるべきで、経営視点の人事で全てに対応できるわけでないことを最初にお断りしておきます。

経営ではない視点として、まずは『会社秩序の番人の人事』があります。正社員に対する雇用責任が重い代わりに、会社側の支配を認めるといった管理人事の視点です。次が『全知全能の人事』。少し社員よりになっている部分があって、全ての社員の個別状況を把握し、個人のキャリアパスや生活と、経営の都合を固有名詞で組み合わせて実現する人事という視点です。今は全社員を把握するのは現実的に不可能だと思います。個人の状況が多様化し、ダイバーシティ、少子化、高齢化、介護、社会的責任といった問題も生じて複雑ですから。それから『制度オタクの人事』。これは完全に人事サイドの自己完結と自己満足によるもので、制度としての論理的整合性と客観性、あるいは合法性の担保による視点です。

最近重要になってきているのが『外部環境対応の人事』。雇用市場の変化や人事プラクティスの動向といった外部の流れと他社の動きに追随した、受け身の視点とも言えます。外部環境の典型は法です。例えば、男女雇用機会均等法ができた時に、男女で区別しない総合職と一般職が設けられました。今後で言えば、5年後の有期契約の禁止などに対して、非正規雇用にどのように対応していくのか、どういった対応がベストなのか、という議論がなされることになると思います。

『類型人事の視点』は、日本型とか米国型とか、ナントカ業界とか、標準的な人事プラクティスを類型する視点です。この視点でいくと他社と同じになり、競争上の優位性を人では出せません。従って、企業が目指すべき人事の視点としては、類型型ではなく我が社型でいくしかないということになり、これがある意味で、経営の視点になると考えます」

昨今、注目されているダイバーシティ推進だけを取り上げてみても、視点はいくつもある。1986年の男女雇用機会均等法の際には、法律遵守を迫られて「技術人事の視点」で人事が対応したことでダイバーシティが進んだ。その後は、次第に企業の社会的責任論とそれに伴う企業イメージ戦略としての推進という、「時流人事の視点」に変わっていく。CSR経営を続けていくと長期的なグロスにつながっていくとか、何か不祥事等があった際のブランド毀損が少なくなるといった分析もなされて、重視される風潮が生まれた。

「さらに時代が進んできますと、タレント人材確保、海外市場拡大、多様な人たちの多様な議論から生まれるクリエイティビティといった、生産性を上げる目的として推進されるようになりました。これが『経営人事の視点』で、この10年ぐらいに出てきたものです。従って、ダイバーシティの推進といっても、どの視点で捉えるかによって、取り組みが変わってきますし、事実、だんだん変わってきていると言えます。すなわち、特定の問題に対して『我が社はどの視点で取り組むのか』を考える必要があるのです」

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最終更新:6/30(木) 7:30

日本の人事部

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