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イギリスのEU離脱がファッション業界に与える影響とは?

ハーパーズ バザー・オンライン 6/30(木) 18:57配信

イギリスの国民投票でEU離脱派が勝利したというニュースに、株式市場は急落し、ポンドはこの数十年で最安値を記録した。
 
実際にイギリスがEUから離脱するのはまだ数年先の見込みだが、ファッション業界関係者の多くは、これが自分たちにもたらす影響について懐疑的だ。ロンドンはファッション産業界で主要都市のひとつであり、「ビジネス・オブ・ファッション」によれば、2014年度は約380億ポンドをイギリス経済にもたらしている。 
 
ポンド安と不確定な新関税は、UKが拠点でありながら生地や製造はEU内の他の国で行っている企業にとっては、大きな障害となりえる。

投票以前に、ブリティッシュ・ファッション・カウンシルが行った調査によると、90%という大部分のメンバーが、EU残留を望んでいた(約500人のデザイナーのうち290人が調査に回答)。
「残留が圧倒的な支持を得ていたので、直ちにヨーロッパ中の友人たちやパートナー、同僚たちにも広がるこの結果に大いに落胆し、動揺していることでしょう」と、ブリティッシュ・ファッション・カウンシル最高責任者のキャロライン・ラッシュCBEは語る。 
 
「数年後のEU離脱に向かって準備をすべく、私たちは、政府にファッション産業にとっての優先事項を伝える一方で、デザイナーたちにはどのような影響があるか最新情報を知らせていかなくてはなりません」

混乱は、イギリスに輸出入される製品の価格にも影響を及ぼすことが予測される。

「ポンド安は小売業すべてに影響を与え、そのツケは消費者に回されます」と、サンフォード・バーンステインのシニア・アナリスト、ブルーノ・モンテイン氏は「フィナンシャル・タイムズ」紙に語っている。 
 
そして、この不確実さこそが、ラグジュアリー・ブランドにとって即時に大きな影響を及ぼすものと専門家は見る。バーバリーやマルベリー、ジミー チュウなどの株式は翌日金曜の朝(24日)に急落した。 

「離脱の最も大きな影響は、すでに不安定な市場がより不安定になることで、消費感情も損なわれるでしょう」と、サンフォード・バーンステインのシニア・リサーチ・アナリストのマリオ・オルテリ氏は「ビジネス・オブ・ファッション」に述べている。「これはラグジュアリー・ブランドにとっては好ましくなく、株の取引状況を見ても、この離脱決定は市場の下落を加速させ、おそらくラグジュアリー・ブランドの評価は不安定さの中で短期的には低迷するでしょう」

旅行や移民への影響についても大きな疑問符が投げかけられている。ロンドン・ベースのデザイナーでスコットランド生まれのクリストファー・ケインは「ニューヨーク・タイムズ」紙に対し、「腕のたつお針子さんたちが、イタリアやヨーロッパ各地から来て、もう5年も働いているんだ。彼女たちにビザを取得することになったら、いくらかかることになるか」と語っている。

今後、どのような同意が交わされるかにもよるが、ビジネスやファッション・ウィークなどのイベントでイギリスを訪れる際に、新たな障壁が課せられる可能性もある。

しかし、今秋のロンドン・ファッション・ウィークは当初の予定通り開催することが確認されている。 
 
投票を前にして、イギリスのブランド「シブリング」(Sibling)のデザイナー、シド・ブライアンとコゼット・マクリーリーは、メンズ・ファッション・ウィークのショーのランウェイに、「イン」を書かれたメッセージTシャツを着て登場した。バーバリーのクリストファー・ベイリーは、2月にロンドンの「タイムズ」紙上に掲載された、「イギリスは、EUのメンバーであり続けたほうが、より強く、安全で、豊かでいられる」と訴える手紙に署名した100人以上から成るビジネス・リーダーのうちの一人だ。

ヴィヴィアン・ウエストウッドを含むデザイナーたちも、SNSにコメントをアップした。

まさに、クリストファー・ケインが「タイムズ」紙に語ったように、「ファッション業界は、何が起こったかわからないんだ。それってかなり怖い」

最終更新:6/30(木) 18:57

ハーパーズ バザー・オンライン

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