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インドネシア大統領、中国の横暴に毅然と抵抗宣言

JBpress 6/30(木) 6:15配信

 中国が受注したインドネシアの高速鉄道建設プロジェクトが難航していると伝えられているが、その一方で、両国の間に領海および海洋権益をめぐる問題がにわかに勃発し、緊張が高まっている。

九段線とナトゥナ諸島の位置(図)

 6月23日、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、南シナ海・ナトゥナ諸島沖のインドネシア海軍コルベット「イマムポンジョル383」上で主要閣僚や軍首脳とともに閣議を開き、同海域の防衛を強化し、インドネシアの主権を維持することを明言した。

■ インドネシア海軍コルベットが中国漁船を拿捕

 閣議の前の週の6月17日、ナトゥナ諸島北方沖のインドネシアの排他的経済水域(EEZ)に12隻の中国漁船が許可を得ずに侵入し、操業しようとしている現場を、インドネシア海軍が発見した。

 インドネシア海軍艦艇が警告を発しながら、中国漁船群に接近したところ、11隻の中国漁船は逃走したが、すでに網を入れていた1隻はインドネシア海軍コルベット「イマムポンジョル383」に捕捉された。その中国漁船はインドネシア軍艦の警告を無視して逃走をはかったため、「イマムポンジョル383」は警告射撃を実施して追跡し、中国漁船を拿捕した。

 今回の事件が発生した水域を含むインドネシアのEEZ内において漁業活動をするには、インドネシア当局の許可が必要である。中国船に限らず、このような許可なき漁船が操業することはできない。そのため、インドネシア海軍による中国魚船拿捕は主権国家にっては何ら問題のない行動である。

 しかし、中国漁船を拿捕した「イマムポンジョル383」に対して中国海警局巡視船2隻は「中国漁船は中国の伝統的な漁場で操業していたのであり、何ら違法性はない。直ちに解放せよ」と威嚇的に警告を発した。また、中国政府当局も「インドネシア軍艦の発砲により中国漁民が負傷した。このような武力の行使は国際法に違反する」とインドネシア側の行動を強く非難した。

 実は、今年の3月にも、同海域で違法操業中の中国漁船をインドネシア当局が拿捕しようとした事件が発生している。このときは、取り締まりに当たっていたインドネシア巡視船の取締官が、拿捕して連行しようとした中国漁船に移乗したところ、中国海警局巡視船2隻が急行してきて、拿捕された中国漁船に体当たりを始めたため、取締官たちはインドネシア巡視船に脱出せざるをえなくなってしまった。その結果、インドネシア側が一時拿捕した漁船と違法操業していた乗組員たちは、中国側に奪還されてしまったのである。

 その後も、この海域での中国漁船の違法操業が頻発したため、ジョコ大統領は、それまで海軍艦艇が常駐していなかったナトゥナ諸島周辺海域に海軍コルベットを展開させて、中国漁船に目を光らせる方針に転じたのであった。

■ ナトゥナ周辺海域も“中国の海”

 中国当局は、以前には明確に「ナトゥナ諸島の主権はインドネシアに属しており、中国がこれに対して異議を申し立てたことはない」と明言していた。ところが中国政府は、6月17日の拿捕事件の発生を受けて19日、「ナトゥナ諸島周辺海域は、中国の伝統的な漁場であるだけでなく、中国とインドネシアの海洋権益が重なり合う場所である」と表明するに至った。

 この中国当局の新しい立場は、さすがにナトゥナ諸島の領有権まで主張するものではないものの、「ナトゥナ諸島周辺海域は“中国の海”に属する」という主張を開始し始めたものであるとみなすことができる。

 南シナ海における“中国の海” とは「九段線」という極めて曖昧な領域概念で示されている。その九段線は連続線ではない九つの断片的な線であるため、南シナ海の“中国の海”の境界線が明示されているわけではなく、おおよその範囲が示されているに過ぎない(下の地図)。

  (* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで地図をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47211)

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最終更新:6/30(木) 6:15

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