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独占インタビュー・岡崎慎司 「ゴールを“求められていない自分”に怒りがあった」

BEST TIMES 7/1(金) 12:00配信

昨シーズンのサッカー界、最大の話題といえばレスター・シティのプレミアリーグ優勝で異論はないだろう。降格と昇格を繰り返した「エレベータークラブ」が、マンチェスター・シティ、チェルシー、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッドといった世界的ビッグクラブを抑え、その頂点に立った事実は驚きとともに語られた。一方、そのレスター・シティのレギュラーとしてチームの躍進を支えた岡崎慎司は、メディアの前で「悔しい」「怒り」という言葉を繰り返した。6月初旬に発売後、たちまち6万部を突破した、プレミア一年目を振り返った書籍『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)にはその心情の変遷が詳しいが、歴史的快挙の立役者となった一年を総括する書籍のタイトルが「未到」とは穏やかではない。なにより、日本を代表するエースストライカー、親しみやすい雰囲気を身にまとい、泥臭いプレーを信条にチームの勝利を優先し献身的なプレーを見せる「典型的な日本人選手」として語られてきた彼はなぜ、一見そのイメージと相反するような言葉を繰り返したのか。サッカー界にとっては「奇跡」として語られるレスター・シティの一年。しかし、われわれ日本人にとっては、日本を代表するストライカーが、これまで見せることのなかった「秘めた心のうち」を明かし、新たな日本人フォワード像へ突き進もうとする一年であったことを見逃してはならない。7日間連続・独占インタビュー公開! 

未だ達せず、という言葉がぴったりのシーズンだった 

――シーズンお疲れさまです。少しは落ち着きましたか? 

そうですね。
でも、日本代表のキリンカップ(ボスニア戦)では負けてしまったし、点も取れなかったので悔しい終わり方でした。「オフだ」っていう感じではなかったですね。

 それでも、自分がプレミアリーグで感じたいまの気持ちをサッカースクールで子どもたちに伝えることができたり、清水エスパルス時代にお世話になった人に会えたりしたんで、それができたのは良かったです。

休むのはイギリスに帰ってからでいいかな、と。帰ったら家族との時間が取れるのでそこで少しゆっくりしたいと思います。

――「プレミア優勝」という誰も想像ができなかったであろう世界を体験して、充実感もあるのでは。

もちろん優勝はうれしかったですけど、個人的にはまったく満足していないです。6月に出させてもらった本のタイトルも「未到」なんですけど、その言葉どおり本当に「未だ達せず」という感じで、シーズンの終盤は特に「悔しさ」とか「怒り」といった言葉がぴったりのシーズンだったと思います。

――それはなぜですか? 

シーズン中は先発で出ていましたけど、いつも60分、70分で交代させられていたし、なにより5点しか取れなかったという結果ですよね。守備的なボランチの選手であれば5点でもいいかもしれないですけど、フォワードとしては満足なんかできない。メディアなどでは得点以外の部分、たとえば献身的なプレーで貢献したって言われますけど、それはフォワードとして評価してもらって褒められているわけではない。

はっきり言ってしまえば、監督もチームメイトも僕にゴールを求めていないと思うんです。それが悔しい。「いつも通りプレーしてくれれば、お前はゴールを取らなくても大丈夫だ」っていう雰囲気なんですよ。実際、それに近いことも言われましたからね。そういう意味では、この悔しさを感じられたことはすごく収穫のあるシーズンだったと思います。フォワードってこういう気持ちじゃなきゃダメなんだという再確認ができたので。

――なるほど。そうした気持ちはシーズン中、つねにあったんですか。

いや、最初は違いましたね。

ほかの選手ができない「献身的」な部分を出すことが試合に出ることにつながると思って、そこで評価されることに対して一定の満足感があった時期もあれば、話してきたように「怒り」がモチベーションとなっている時期もあった。一方で、優勝した瞬間は、いままで感じたことのない喜びがそんな「怒り」を吹っ飛ばしたこともあります。

本当にいろいろと気持ちが変わっていったシーズンだったなと思います。

――それが書籍のタイトル『未到』になったわけですね。

そうですね。

――実際、書籍のなかではいま言われたような「気持ちの揺れ」が詳細に書かれています。プレー中に考えていることはとても興味深かったのですが、それに加えて日本代表に対する思いの変化や、自分の思考の整理の仕方など、ものすごくいろんな角度でものごとを考えているんだな、ということが伝わってきたのですが、「考える」ということは意識されているのでしょうか。

それは一番意識していることですね。
結局、考えないと行動できないじゃないですか。失敗して次にどう取り組むべきか、考えなければずっと同じミスを続けてしまう。

でも難しいのはピッチで考えすぎてはダメなこと。一流のレベルになると、その考えている時間の差がそのままプレーの差になってしまう。だからピッチで考えないために、それ以外のところでものすごく考えるようにはしています。

明日のテーマは「優勝した瞬間、すべてがふっとんだ」です。お楽しみに! 

 

写真:杉田裕一/テキスト:書籍編集部

最終更新:7/8(金) 9:09

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