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EUが崩壊しない理由 ~ユーロという麻薬について~ (塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 7/1(金) 5:02配信

英国がEU離脱を決めたことで、次々と追随する国が出て、EUが崩壊すると心配している人もいるようですが、筆者は安心しています。非ユーロ導入国はともかくとして、ユーロ導入国はユーロ圏を抜けないので、EUも抜けないと考えているからです。今回は、ユーロ導入国の事情について考えてみましょう。

■ユーロは経常収支赤字国が借金できる仕組み
経常収支が赤字の国は、赤字分だけ外国から借金をすることになります。毎年の赤字分が貯まっていくと、外国からの借金も巨額になっていきます。通常、貿易等は外貨で行なわれますから、ユーロに参加していない国は、外貨建ての借金をすることになります。

ところが、ユーロ採用国は、ユーロ建てで借金をするため、外貨建ての借金を抱える必要はありません。貸し手の立場からすると、借り手が外貨建ての借金を抱えているのと自国通貨建ての借金を抱えているのでは、不安の度合いが大きく異なります。

たとえば1997年にタイで通貨危機が起きました。この時は外国から借金返済要請が相次いだため、タイの借り手が自国通貨をドルに換えて借金を返済しようとしましたが、ドルの買い注文が殺到してドル高となり、借金返済が出来なくなった借り手が多かったのです。昨日まで何の問題も無かった借り手がドル高により破綻する、といった事が頻発したのです。

ユーロ建てで借金をしていれば、こうした不安はありませんから、比較的楽に外国から借金をすることが出来ます。これは、経常収支赤字国にとっては大変素晴らしいことです。ユーロ採用の大きなメリットと言えるでしょう。

しかし、考えようによっては、これは麻薬のようなものです。本来は経常収支赤字を減らす努力が必用なのに、借金が出来るために努力の必要が薄れるのです。これは大変心地よいものですが、問題は続けると依存症になることです。

■ユーロ圏を離脱するとインフレと失業が待っている
ユーロ圏を離脱した途端、その国は「巨額の外貨建て借金を背負った国」になるわけですから、海外からの借金返済要請が一気に押し寄せて、通貨危機時のタイのようになってしまうかも知れません。仮に既存の借金の返済は待ってもらえたとしても、新たな経常収支赤字分は自国通貨を外貨に換えて支払う必要が出てきますので、遠からず外貨高となり、輸入物価が高騰し、インフレになるでしょう。

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最終更新:7/1(金) 5:02

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