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脂肪は悪くない!ダイエットの決め手はバランスだ

JBpress 7/1(金) 6:10配信

 夏到来。薄着の季節になると、「ダイエット」を始める人も多いことだろう。ダイエットとは、もともとは「日常の食事」を意味する言葉だが、いまでは「痩身」「減量」の意味で使われるほうが多い。

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 人びとがダイエットに励むのは体重が増えるからだ。では、なぜ体重は増えるのだろうか。エネルギーバランスのしくみを探ってみた。

■ 人類はエネルギーを貯めておく動物

 食べ過ぎると、太るのが心配になる。食べ物が脂肪になるのも不思議だ。

 食べ物から供給される栄養素のうち、おもなエネルギー源は糖質、脂肪、たんぱく質からなる。糖質とは、炭水化物のうちでんぷんや糖類など消化されるものをいう。糖質は体内に吸収されると、グリコーゲンとして肝臓や筋肉に、あるいは脂肪に変換されて脂肪組織に蓄えられる。脂肪も脂肪組織に蓄えられ、また、たんぱく質は体をつくるたんぱく質の素材となる。

 摂取したエネルギーの大半はすぐに使わずに脂肪として貯めておき、必要に応じて消費する。これは、生物が飢餓に備えて進化させた機能的なシステムだ。

 生物の歴史を遡れば、食べ物にありつけるのはまれなことだった。餓死することもあっただろう。そこで、生物はエネルギー源が枯渇したときに備え、エネルギーを蓄える手段を身につけたのである。

 脂肪は、重さあたりのエネルギーが糖質の2倍以上あるので、少ない量でたくさんのエネルギーを貯めておける。効率のよい脂肪を使って、エネルギーを蓄える機能を身につけたおかげで、次はいつ食べられるのかも分からない状況から、人類は生き延びることができた。

 このように人類が繁栄を遂げられたのも、まさに脂肪のおかげなのである。脂肪はダイエットの敵と思うかもしれないが、むしろ私たちは脂肪に感謝しなければならないのかもしれない。

■ エネルギーの出し入れは調節されている

 生体には、エネルギーの出し入れを調節する働きがあり、摂取エネルギーと消費エネルギーが等しくなるように厳密にコントロールされている。消費エネルギーが摂取エネルギーを上回れば、脂肪として貯めておいたエネルギーが使われる。一方、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば、脂肪として貯めておくになる。

 生体がどうやってエネルギーのバランスを保っているのかは長い間の謎だった。しかし、1990年代に肥満マウスの脂肪細胞から「レプチン」というホルモンが見つかり、その仕組みが明らかになってきた。脂肪細胞とは、皮下脂肪や内臓脂肪などの脂肪を貯めておく細胞だ。脂肪細胞から分泌されたレプチンは、脳の視床下部に働きかけて食欲を抑えるとともに、交感神経にも作用してエネルギー消費を促すことでエネルギーのバランスを調節していることが分かった。

 「おなかがすいたので食べる」「おなかがいっぱいになったので食べるのをやめる」というのは当たり前のようだが、実はこの行為は厳密に制御されている。視床下部は、レプチンや血糖値を調節するインスリンなどのホルモンを介して常に代謝の状態を監視しており、食欲によって摂食を調節しているのだ。

 その後、脂肪細胞からレプチン以外にもさまざまな情報伝達物質が見つかっており、脂肪細胞は脂肪を貯めておくだけでなく、体のエネルギーバランスを調節していること分かった。

■ リバウンドは「セットポイント」が存在するから 

 体重はエネルギー収支の結果であり、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが保たれていれば体重は一定である。摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る状態が続けば体重は増加し、逆なら減少する。

 いつでも食べ物が手に入る現代では、エネルギーをたくさん貯めておく必要はなさそうだが、飢餓に耐えられるよう進化してきた生体はエネルギーを決して無駄にしない。エネルギー摂取量が多ければ、余った分は脂肪として蓄える。

 また、先に述べたように脳は、エネルギーの貯蔵状態を常に感知し、エネルギーのバランスを調節することで体重をセットポイント、つまり、その人の体に組み込まれた体重の一定値に保とうとしていると考えられている。

 そのため、長期的に見れば体重は簡単には変化しない。ダイエットをして体重が減ったはずなのに、リバウンドするのはそのせいである。

■ エネルギーバランスが乱れている現代食

 近年、日本人の肥満が増えている。ただ、「国民健康・栄養調査」によれば、日本人の食事からのエネルギー摂取量は戦後からほとんど変わっていない。そのため、肥満が増えたのは過食や飽食が原因というよりは、自動車やエレベーターなどができて人が動かなくなったためにエネルギー消費量が減ってしまい、そのため、体に余ったエネルギーを蓄積するようになったからと考えられている。

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最終更新:7/1(金) 6:10

JBpress

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