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EU離脱の英国、やはり普通の国ではなかった

JBpress 7/1(金) 6:10配信

 EU脱退の可否を決める英国の国民投票において、脱退が過半数を占める結果となったことに世界中が衝撃を受けた。

 EUは、2度の世界大戦で主戦場となった欧州において戦争からの永遠の離別を目的に発足し、加盟国が増加している。そのEUから脱退するとの英国民の判断に、世界が驚愕した。

 一方、実は英国という国は先進国の中でも非常に特異な国であると言える。英国の政治、経済、社会、それぞれの面での特異性についてまとめてみたい。

■ 全世界の陸地の4分の1を占めた大英帝国

 英国は、歴史的にはイングランドを中心とする王国が、スコットランド、アイルランドの他、大陸の諸王国との間で、数多くの戦争を経験し、その過程で王室の課税権などに対する制限を貴族、議会等が持ちながら発展した国である。

 16世紀以降は海洋国家として海外進出・領土獲得を進め、最盛期の19世紀後半から20世紀初頭には、植民地・海外領土は全世界の陸地面積の4分の1に達したとされる。そのため、大英帝国は「太陽の没するところのない国」と言われた。

 17世紀半ばに清教徒革命が発生し、一時共和制となったが、その後、王政復古がなされている。また、名誉革命が発生しているが、王政が途絶えたのは一時的であり、その間でも貴族は没落していないという特殊な歴史を持っている。18世紀後半には産業革命が英国で発生し中流階級が生まれたとされているが、貴族等の上流階級はそのまま存続した。

 19世紀後半以降、米国、ドイツなどの新興国が台頭すると、英国の地位は相対的に下降することとなった。また第2次世界大戦後は、英国の豊かさの基礎になっていたインドなどの植民地が相次いで独立する。現状ではケイマン諸島、ヴァージン諸島、バミューダ諸島等のカリブ海、大西洋の島々、フォークランド諸島、ジブラルタルなどを海外領土として保有しているに過ぎない。

■ イングランドが中核をなす連合王国

 英国の正式名称は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」であり、国際的な略称は「United Kingdom」(連合王国)である。

 英国は主権国家としての国であるが、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドのそれぞれが政府を有しており、これもある意味、国と見なされている。FIFA(国際サッカー連盟)が英国の地域代表としてこの4つを認めているのは周知の通りだ。なお、1801年に現在の連合王国が成立しているが、国旗のユニオンジャックはイングランド、スコットランド、アイルランド国旗を重ねたものである。

 英国(連合王国)は、イングランドがその中核をなしている。他の3地域はイングランドに対して、歴史的に対抗意識を持っており、全ての面で従属する姿勢とはなっていない。例えば、スコットランドでは2014年9月18日、英国からの独立の是非を問う住民投票が行われた。結果は反対が55.3%で、辛くも否決されたことは記憶に新しい。

 政治体制は英国王室を頂点とする立憲君主制である。国王の助言・諮問機関として枢密院(Privy Council)があり、形式的にはこの枢密院が行政上の最高機関となる。しかしながら、実際には、定数650の「庶民院」(House of Commons)の与党から首相が選出される議院内閣制となっている。

 また、議会は庶民院の他に、定数、選挙・改選がない任期が終身の「貴族院」(House of Lords)がある。貴族院の政治的権限は庶民院と比べ、非常に限定的である。なお、貴族院は世襲貴族、一代貴族(元首相、元閣僚等)、聖職者などから構成されており、現在約800人の貴族院議員がいるとされている。

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最終更新:7/1(金) 6:10

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