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ソニーが銀座に公園を造る!? 「銀座ソニービル」が挑む一大社会実験

HARBOR BUSINESS Online 7/2(土) 16:20配信

 東京・銀座の一等地、数寄屋橋に公園ができるという。しかも、その運営者はソニー。

 ソニーは、その象徴の1つともいうべき大型ショールーム「銀座ソニービル」を、2017年3月31日を以て閉館させ、2年ほど公園として活用したのち2022年を目途に新たなビルを建設することを発表した。

 しかし、期間限定ながら、家電メーカーが東京の一等地に「公園」を造るとは一体どういうことであろうか。その真価を問うため、ソニービルで開催されている「GINZA SONY PARK PROJECT展」へと足を運んだ。

◆銀座の街を50年間見守ってきた「銀座ソニービル」

 銀座ソニービルは、中央区銀座の数寄屋橋交差点の南角に立地し、その開館は今から50年前の1966年4月。

 当時はまだ銀座に都電が走っていたころで、ドレミの音階が鳴る階段や2300個のブラウン管テレビモニターで覆われたエレベーター塔など、建築家・芦原義信氏による斬新な設計が話題となった(のちにこのモニターは撤去されている)。

 現在、館内にはソニー直営旗艦店「ソニーストア銀座」をはじめ、「ソニーショールーム銀座」、旧ソニー系の雑貨店「PLAZA銀座」(旧SONY PLAZA)や、そのほかにも数多くの専門店や飲食店などが入居している。また、館内に複数のイベントスペースがあることも特徴の1つで、ソニーの新商品体験会やソニーミュージック所属アーティストのイベントもたびたび開催されており、「乃木坂46」のイベントのためにこのビルを訪れたという人もいるであろう。

「GINZA SONY PARK PROJECT展」が開催されているのは、ビル8階のイベントホールである体験型コミュニケーションゾーン「OPUS」(オーパス)だ。

◆「ソニー創業70周年、ソニービル開業50年」を記念した一大プロジェクト

 「GINZA SONY PARK PROJECT展」の会場内には、これまでのソニービルの歴史と、「GINZA SONY PARK PROJECT」の概要が、模型や映像作品も交えて示されている。

 それによると、今回の銀座ソニービルの公園化、そして建て替え事業は、2016年のソニー創業70周年、ソニービル開業50年目を機に「GINZA SONY PARK PROJECT」として取り組むもの。現在のソニービルは2017年から2018年まで解体工事を行い、2018年から2020年の間は、ソニービル跡を「銀座ソニーパーク」と称した公園・イベントスペースとして活用。その後、東京オリンピック後の2020年秋から新たなソニービルの建設を行う予定になっているという。

 なお、ビルの着工を遅らせることには、震災復興と東京オリンピックに伴う資材・人件費の高騰を回避したいという思惑もあると考えられる。

◆「公園化」は「よりオープンなソニービル」を目指した一大社会実験

 現在、ソニービルには、「GINZA SONY PARK PROJECT展」の会場となっている8階のコミュニケーションゾーン「OPUS」(オーパス)以外にも、1階・屋外スペースに「ソニースクエア」、5階に「ソニーイノベーションラウンジ」、7階に「ソニーイメージングギャラリー」などといったイベント施設が設けられており、これまでも様々な催しが開催されてきた。しかし、その多くはあくまでも「ソニービルの中」での出来事であり、わざわざビル内に足を運ばないと体感できないものが多かった。

 そこで、新しい銀座ソニービルは“INVITING”、「街に対して開かれた施設」というコンセプトを掲げており、2年間の「公園化」はそれをさらに追求するためだという。

 この公園化は、単なる公園の設置にとどまらず、銀座ソニーパークを「新時代の情報発信基地」とすべく様々なイベントが開催される予定で、ソニーが公園の運営とイベントによって得られた経験を新しいビル建設に活かしていくための、いわば社会実験的な試みであるという。

◆銀座全体の発展に繋げることができるか

 「GINZA SONY PARK PROJECT展」の会場内には、今後の「PARK PROJECT」に関するものはもちろん、現在のソニービル竣工当時の図面や新聞記事、各時代にソニービルで開催されたイベントの紹介などといった「ソニービルが歩んできた歴史」についての資料が数多く展示されており、新しいビルによって「新たな歴史を刻みたい」というソニーの強い意気込みを感じ取ることができた。

 一方で、ソニーは新しい銀座ソニービルについて「都市機能を内包するような、都市的で公共性の高い施設の完成を目指す」としているが、今の時点では、具体的にどのようなビルへと生まれ変わるのかは未発表。また、銀座ソニーパークが開園するのも約2年後の2018年であり、会場内には公園化した際のイメージモデルの展示が行われているものの、具体的な利用計画、イベント計画などはまだ示されていない。銀座の一等地で世界のソニーが運営するイベント広場、さらに東京オリンピックの開催前後ということもあり、この地で世界的に注目されるようなイベントが開催される可能性も十二分にあるが、展示を見る限りでは、そういったものが開催された際のイメージが少し沸きづらかった。

 また、銀座ソニービルの隣接地には2016年3月に「東急プラザ銀座」が開業したばかり。この新たな商業ビルは、開業以来幅広い世代をターゲットとして多くの客を集め、連日混雑が続いている。さらに、すぐ近くでは銀座松坂屋跡の再開発事業も進んでおり、新しいソニービルが完成した際に、こういった近隣の「集客装置」をどう活かし、ひいては銀座全体の発展に繋げていくつもりなのかといった「銀座地域全体における新しいソニービルの位置づけ」が明確に示されていないことも残念であった。

 今後の「ソニーパーク」の運営を通して、新しいソニービルが「未来の銀座」においても地域になくてはならない象徴の1つとなるようなビジョンが示されることに期待したい。

 昨今、元気がないといわれる日本の大手家電メーカー。今後、ソニーが銀座の一等地を公園化した際にどのような運営を行い、またどのようなイベントを開催し、文字通り「新しい時代の情報発信基地」とすることができるのか、また、その経験を活かしてソニーらしさと銀座らしさを併せ持った、斬新な、そして世界的に注目されるようなビルを造ることができるのかどうかは、これまで世間をあっと驚かせる製品を送り出してきた「世界のソニー」の手腕にかかっている。

 また、2017年3月のビル閉館に先立ち、「ソニーストア銀座」「ソニーショールーム銀座」は8月28日に、「ソニーイメージングギャラリー銀座」は9月8日に閉店し、9月24日からは旧銀座ライオン跡に建設中の新たな商業ビル「銀座プレイス」にて営業を行う予定。

 この「銀座プレイス」は、6月15日に竣工したばかりで、今秋にグランドオープン予定。銀座プレイス内には、かつてこの地にあったレストラン「銀座ライオン」や日産のショールームも復活する予定で、特徴的な外観も相まって、こちらも「銀座の新名所」として期待されている。

 余談だが、ソニービルの竣工当時に銀座を走っていた都電は現在も荒川車庫で大切に保存されている。都電に乗りつつ、50年前の銀座に思いを馳せてみるのもまた一興だ。

<取材・文・写真/都市商業研究所>

【都市商業研究所】

若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」

※都商研ニュースでは、今回の記事のほかにも下記のような記事を掲載中

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・銀座ソニービル、2017年3月閉館-2022年の建替え目指す

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:7/5(火) 17:30

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