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会社に「吸い取られる」感覚が辛かったから起業した

JBpress 7/4(月) 6:00配信

 起業をするということは、自分の時間を生きるということだと思います。

 仕事の時間は人生の大部分を占めており、その時間を他人のために使うのか、自分のために使うのかで、人生の意味は大きく変わると考えます。きちんと努力を積み重ねていれば時間とともに成果は積み上がるものですが、「それが誰のものなのか」は、大問題だと私は考えます。

■ サラリーマンは、人のために働く

 私は15年間サラリーマンをやっていたのですが、辛かったことの一つとして、「今働いているこの時間は、自分のための時間ではない」と感じたということがあります。お金と引き換えに、大切な自分の時間を他人に売り渡していると。仕事の成果は会社のものであり、自分が得られるものは給料だけでしかない、と。

 100億円、200億円を動かすプロジェクトを担当し、名だたる大企業を相手に交渉し、身を削って契約を成し遂げて大きな利益を会社にもたらしても、自分が得られるのは決まった額の給料だけです。金額の問題ではなく、自分の成果は全て会社に帰属するような、思い切って言ってしまうと「吸い取られる」ような感覚がありました。

 全面的に会社の資源を使って仕事をしているのですから、成果が会社に属するのは当たり前のことです。もちろん個人としても、スキルや経験、もしくは人との出会いなど、お金以外の無形のものを多く受け取ることもできていたことでしょう。ただ、それでも「成果が自分のために積み上がっていかない」ということを、苦痛に感じていたのです。

■ 働いて得た給料で、自分の時間を生きれば良いという考え方

 雇われて働くことには当然ながら、魅力もあります。リスク無く、安定した給料がもらえるということです。大企業ならなおさらでしょう。何十億円のプロジェクトを失敗しても、命まで取られることはありませんしね。だったら、勤務時間中は自分を殺してでも働いて、もらったお金で家族との時間を大切にしたり、海外旅行に行ったりすれば良いじゃないか、そう考えている時期もありました。

 しかし、雇われの身では休みたい時にも休めませんし、同僚に仕事を押し付けて「休ませてもらっている」時にも仕事のことを思い出し、せっかくの家族との時間に不機嫌になったりします。大袈裟に感じるかもしれませんが、働いている時間だけでなく、24時間365日、全く自由が無いと感じていました。

 私は真面目すぎるというか切り替えが下手で、サラリーマンには向いていなかったのでしょうね。平日は辛い仕事を我慢してやり抜いて、休みの日には頭を切り替えて遊ぶ、という器用なことができないということが分かりました。意義を感じることを仕事にして、自分の頭で考えてやっていないと、人生を楽しむこと自体ができない、と。

■ 起業家は、自分のために働く

 起業をして本当に良かったと思うのは、費やしている時間の全てが自分の事業を育てる時間だということです。一つのブログ記事を書くことも、1人のクライアントを獲得することも、全てが自分の財産になるという感覚。たとえ単位が100億円ではなくて数百円であったとしても、それが自分に所属するということには非常に大きな意味を感じています。

 お金以外のことでもそうです。誰か1人の人と出会うとき、今までは会社の代理人としてお会いしていました。異動になれば、次の人にその人間関係を引き継ぎ、その人とはもう二度と会うことも無いケースがほとんど(たまに、お互い偉くなって再会したりしますが)です。

 今、お会いする人たちは、ビジネスというフィルターを介することはあれ、全て「自分」として接しています。自分に魅力が無ければ相手されませんし、その人と一緒に何かをするのも自分次第。進んで誰かの役に立つことも、嫌らしい意味だけではなく、長い目・高い視点で見た自分のためだったりします。

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最終更新:7/4(月) 6:30

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