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円安でも輸出が増えない理由。 (塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 7/5(火) 5:15配信

アベノミクスにより、大幅な円安になりましたが、輸出数量は増えず、輸入数量は減らず、円安の景気刺激効果は今ひとつです。今回は、その理由を考えてみましょう。

■円安だと輸出数量は増えるはず・・・経済初心者向け
アベノミクスにより、為替相場が大幅な円安ドル高になりました。1ドルが80円から120円になったので、日本人から見るとドル高ですが、米国人から見ると円が安く買えるようになったので、円安です。数字が増えるのに円安と呼ぶので、注意が必要です。

通常は、円安になると日本の輸出数量は増えます。輸出価格が円で契約されている品目については、外国の輸入者にとってドル建て価格が値下がりしたことになりますから、国産品を日本製品に置き換えるインセンティブが生じるからです。120円の品物は輸入者にとって、1.5ドルから1ドルに値下がりしたわけですから、国産品が1.2ドルであれば、日本製品に乗り換えるでしょう。

輸出価格がドル建てで契約されている場合には、直ちに変化は生じませんが、通常は日本の輸出企業がドル建ての輸出価格を引き下げて、輸出数量を伸ばそうとするでしょう。1ドルの品を輸出して、従来は80円にしかなりませんでしたが、今は120円になるわけですから、たとえば0.9ドル(=108円)に値下げして売上数量が大きく増えるのであれば、是非ともそうするでしょう。

輸入数量は、反対に減るはずです。1ドルの輸入品が、80円で売られていたのに120円に値上がりするわけですから、国産品が100円であれば、消費者は輸入品から国産品に乗り換えるはずだからです。

■輸出金額よりも輸出数量を論じる理由は?・・・経済初心者向け
円安ドル高になっても、輸出も輸入も、数量が変化せず、ドル建て価格も変化しないとします。輸出企業は受け取ったドルが高く売れて利益が増えますが、輸入企業(輸入原材料を多用している企業)は輸入コストが膨らんで利益が減ります。

日本は輸出入の金額が大体同じなので、輸出企業の利益増と輸入企業の利益減が大体同じです。したがって、この効果は個別企業を見る際には重要ですが、日本経済全体に与える影響は大きくありません。ですから、日本経済全体を見る場合には、あまり注目度が高くならないのです。

一方、円安ドル高によって、輸出数量が増えれば、輸出企業の国内生産が増え、輸出企業が雇用を増やすので、国内の失業者が減るでしょう。輸入数量が減れば、それによって輸入品から消費者を取り戻したメーカーが生産を増やすので、やはり雇用が増え、失業者が減るでしょう。国内生産が増えれば、そのための工場増設投資も行われるかもしれません。つまり、輸出入数量の変化は、国内生産量の変化を通じて景気に大きな影響を与えるのです。

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最終更新:7/5(火) 5:15

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