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テロの連鎖 次のターゲットは産油国か

Japan In-depth 7/5(火) 8:37配信

今週の焦点はテロ事件の世界的連鎖がいつまで続くかだろう。先週末ダッカで起きたテロ事件では7名の日本人を含む20人が犠牲になった。犠牲者のご冥福を心からお祈りしたい。

但し、これで世界のテロが終わる訳ではない。

4日にはジェッダとバグダッドで自爆テロが、クウェートでは未遂事件が、それぞれ起きた。特に、バグダッドの自動車爆弾はこの原稿執筆時点で死者が200名を超える大参事となりつつある。

欧米でも、昨年来のパリ、ブリュッセルでの同時多発テロに続き、米フロリダ州で6月に米史上最悪の銃乱射事件が起きるなど、連鎖は続いている。トルコでは6月末にイスタンブール国際空港での自爆テロで多数が死傷したばかりだ。

比較的安全と思われていたバングラデシュでも、このところ日本人を含む外国人やヒンズー教徒などを狙う過激派テロが相次いでいる。日本人だけは例外という時代は元々なかったか、もしくは、仮にあったとしても、それは既に終わっている。

1980年代前半、ペルシャ湾を航行する日本の原油タンカーは巨大な日章旗を描いて戦闘機の攻撃を逃れようとした。ダッカ事件では日本人男性が「日本人だから撃たないでくれ」と懇願したそうだ。昔は効果がなかっただけだが、今は逆効果なのか。

〇欧州・ロシア

8-9日にワルシャワでNATO首脳会議がある。今年はEU離脱を決めた英国民投票直後のサミットだ。オバマ大統領も出席する。米EU関係について如何なる声明が出るか、出ないかには大いに興味がある。大西洋同盟の結束は、少なくとも言葉の上では、確認されるだろうが、実態がどこまで変質するかの方に注目したい。

〇東アジア・大洋州

5日からハワイで恒例のリムパック(環太平洋合同演習)が始まる。1971年以来ほぼ隔年で開催されている。元々は米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドという英語圏諸国の海軍による合同演習だったが、1980年から海上自衛隊も参加している。今年の参加は26カ国で、中国海軍も前回から参加しているようだ。

一方、同じく5日から中国は南シナ海で軍事演習を行う。期間は一週間だが、7日には南シナ海の領有権に関する常設仲裁裁判所の判断が非公式にフィリピンに伝達されるようだ。判断内容の公開は12日だが、中国にとっては不利な内容になる可能性が高いという。今週以降の中国の動きが注目される。

〇中東・アフリカ

日本での関心はダッカのテロ事件だが、個人的にはジェッダでの自爆事件が最も気になる。米国総領事館の近くというのも嫌だが、似たような事件がクウェートでは未遂になった。これはサウジアラビアやクウェートといった産油国がターゲットになることの前兆なのか。そうだとすれば、中東のテロは更に新たなステージに入ることになる。

〇アメリカ両大陸

クリントン候補のいわゆる電子メール事件が佳境を迎えつつある。起訴するならFBIは7月の民主党大会までに結論を出す必要があるからだ。ヒラリーを信用しない米国人は実に多い。万一起訴にでもなれば、大統領選挙は更に混乱した星雲状態に陥る可能性がある。彼女にとっては文字通りこの数週間が正念場だ。

〇インド亜大陸

インド首相がケニヤ、タンザニア、モザンビーク、南アフリカを訪問する。彼がアフリカ大陸を訪問するのは首相就任後初めてだという。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

最終更新:7/5(火) 8:37

Japan In-depth

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