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防衛費は「人殺し予算」、出るべくして出た藤野発言

JBpress 7/5(火) 6:10配信

 共産党の藤野保史政策委員長が、6月26日のNHK討論番組で防衛予算について、「人を殺すための予算」と発言し、事実上の解任に追い込まれた。こんな発言をする人間が政策委員長だったとは、驚くほかない。

 なぜなら、これは政治家の発言ではないからだ。軍隊が人を殺傷する能力を持っていることは、誰でも知っている。自衛隊を含むどの国の軍隊もそうだ。だからといって世界各国の軍事予算を「人殺し予算」と呼ぶだろうか。そんな情緒的な批判をする政治家はいない。

 主権国家である以上、その主権を守るために軍隊は不可欠である。このことは、長らく共産党も認めてきたことである。

 共産党の安全保障論は、長らく「中立・自衛」が基本であった。「中立」というのは、いかなる軍事同盟にも参加しないという立場である。「自衛」とは、日本独自の自衛力を保持し、その力によって国の安全保障を実現するという立場である。言うまでもなく軍隊は不可欠というのが、もともとの共産党の立場だった。

 ところが、ほとんど党内議論もなく、今日ではかつての社会党と同じ「非武装・中立」論に転換している。おそらく党員でも、こうした変遷を知っている人間は数少ないだろう。そもそも共産党の中で、安全保障論が真剣に議論されたことはない。これほどの大きな政策転換すら、党内での議論はまったくなかったと言ってよい。

 憲法ですら、いつのまにか改憲論から護憲論に変わってしまった。これについても党内で、喧々諤々の議論はなかった。だからこそ、憲法制定議会で9条に反対した唯一の政党が共産党であったにもかかわらず、恥ずかしげもなく「9条は世界の宝」などというプラカードを掲げるのである。

 安全保障法制についても、「海外で人を殺し、殺されるもの」などという、情緒的な批判を繰り返してきた。

 こうして軍とか、軍事というものを忌避する空気を党内に蔓延させてきた。この結果が、藤野発言なのである。

 だから藤野発言に対して、共産党熊本県委員会の日高伸哉委員長の「不用意な発言だったが、誤解だ。言葉尻をとらえての攻撃には断固反対だ」とか、佐賀県委員会の今田真人委員長の「言葉足らずだったかもしれないが、発言に問題は全くない」などの発言が出てくるのである。そう言えば、自衛隊関連の学校に対して、「人殺しを教える学校」と発言して、謝罪に追い込まれた市議会議員もいた。

■ 無責任な共産党の自衛隊論

 選挙戦の中で、共産党に対して「共産党は自衛隊が“違憲の軍隊”だと言っているが、そうなら自衛隊をすぐに解消するということか」という趣旨の質問がなされると、共産党は次のように回答している。

 “自衛隊は憲法違反である。9条の完全実施を目指すが、完全に解消するには相当な時間を要する。国民多数によって自衛隊は必要ないという合意がなされてからだ。そもそも自衛隊は自民党政治が生み出した矛盾だ”

 実に無責任な論理である。「もう自衛隊は必要ない」というような国民合意が、そもそもできるのだろうか。いったい何十年先、否、何百年先の展望なのか。これでは、憲法違反の状態を半永久的に続けていくと言っているのと同じである。

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最終更新:7/5(火) 6:50

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