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マイナス金利で家庭用の金庫を買った人を笑えない理由。(塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 7/6(水) 5:23配信

マイナス金利が採用されてから、株価は低迷を続けています。実体経済への影響も、必ずしもプラスにはなっていないようです。日銀がマイナス金利を金融緩和の切り札だと考えていたとすれば、当てが外れたと言えそうです。今回は、マイナス金利の影響について考えてみましょう。

■偽薬効果だった株価上昇と景気回復
アベノミクスの目玉として、黒田日銀総裁が大胆な金融緩和を打ち出した時、株価は急騰しました。金融緩和で世の中に資金が出回れば、世の中の株券と資金の比率が変わり、株価が値上がりするはずだ、と考えた投資家(本稿では黒田信者と呼びます)が株を買ったからです。

筆者のように、資金は世の中に出回らないだろうと考えた人も、黒田信者が大量の株を買うのを見て、「自分も先回りして株を買って儲けよう」と考えたので、株価は更に上がりました。

実際には、世の中に資金が出回らなかったので、黒田信者は間違えていたわけですが、結果として株価もドルも値上がりし、景気が回復したのですから、金融緩和は成功だったと言えるでしょう。

小麦粉を薬だと言って患者に渡すと、病が治る場合があります。「病は気から」だから起きる現象なのでしょう。これを「偽薬効果」と呼びます。今回の金融緩和も、「世の中に資金を出回らせる」と日銀総裁が宣言したこと自体は誤りだったので、金融緩和は小麦粉だったのですが、それで景気が回復したのですから、「偽薬効果」だったと言えるでしょう。

■金融緩和の株価押し上げ効果は消えたのか?
黒田日銀総裁が就任してから暫くは、株価は順調に上昇していきました。投資家たちは「資金が世の中に出回っていない」ことに気付きましたが、「それでも他の投資家が黒田信者であるなら、株価は上がるだろう」と考えて株を買ったのでしょう。

しかし次第に、黒田信者たちにも、金融緩和が薬ではなく小麦粉であるということが知れるようになってきました。そして投資家たちは、「他の投資家も黒田信者ではなさそうだ」と考えるようになりました。そうなると、ゼロ金利下の追加緩和は意味をなさないようになってきます。

そこで打ち出されたのがマイナス金利でした。これは、銀行に対して「日銀に預けてマイナス金利をとられるくらいなら、貸し出しを増やしなさい」という日銀のメッセージだったわけです。これは、ゼロ金利下の量的緩和と異なり、理論的に銀行の貸出のインセンティブを高めるものとして(小麦粉ではなく、本当の薬として)、大いに注目されたのです。

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最終更新:7/6(水) 5:23

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