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行動科学が教えてくれる、物事の順序を変えるだけで幸福感を高める方法

ライフハッカー[日本版] 7/6(水) 22:10配信

私は、起業家になる前、ビジネススクールに通っていたのですが、そこでMBA の勉強をしたときに身についたある教訓が、その後の人生で何度も役に立つこととなりました。それは簡単に言えば、自分が一番やりたくない作業を一番先にやって「苦痛」の先払いをすると、長期的に、より幸せになれるというものです。

マーケティングのある授業で、私たちは、すばらしい顧客体験をデザインするさまざまな方法についてディスカッションをしていました。単にまともなサービスではなく、顧客を喜ばせるようなサービスを提供するには、ということがテーマでした。

行動科学者たちの発見によると、楽しい経験を生み出すための最も効果的な方法の1つは、苦痛な部分をその過程の初期段階にまとめることだそうです。心理学的に、人は、時とともに物事が好転する経験を好むのです。つまり、何かを買うときは、そのプロセスの面倒な部分が最初のうちに済んでしまったほうがよいということです。また、苦痛な部分が続いたり、繰り返されたりすれば、その体験を楽しむこと自体ができなくなります。

例を示しましょう。

・医者に行ったときは、待つという「苦痛」を1つのセグメントにまとめて考えましょう。1回20分間待たされたと考えるほうが、待合室で10分、診察室でまた10分待たされたと考えるより、感覚的に短く感じるからです。

・すべて込みのパッケージ旅行を人々が楽しめるのは、いったん旅行代金を先に一括で支払ってしまえば(苦痛)、あとの部分は、ポジティブな経験、オプショナルツアー、パーティーといったことだけになるです。ビジネススクールの教授いわく、パッケージ旅行は「楽しみは分割し、苦痛はまとめてある」のだということです。

・専門的サービスを提供する仕事(弁護士、保険代理業、フリーランスなど)の人は、クライアントと話をするとき、悪い知らせを先に伝え、良い知らせで終えるとよいでしょう。低調で始め好調で終えたほうが、その逆よりも、クライアントには、良い話をしたという印象が残るのです。

こうした例に触れ、私は考えたのです。これで顧客を喜ばせることができるなら、自分の生活ももっと楽しくできるのではないか? どうすれば、苦痛で面倒な経験を脳が処理する仕組みを活用し、その知識を生かしてより良い人生が送れるだろうか?

そのアイデアを紹介しましょう。


■ 面倒なことを先にやる

顧客が喜んでくれる経験とは、面倒な経験が、プロセスの最初のほうの段階でまとまって起き、それが時とともに好転していくというものです。自分の幸福度を高め、1日をより楽しく過ごすためにも、それと同じことをすればよいのです。

たとえばこんなことです。日常的な1日には、面倒だったり、苦痛だったりする作業(請求書の支払いなど)があると思います。そして、良いこと(友達から心のこもったメールをもらうなど)もあるでしょう。

もし昼休みにメールを読んで、仕事から帰宅した後に支払いをしたら、その1日は、良いことの後にイヤなことがあったと記憶されるでしょう。それではいけないのです。

一方、1日の早い時間に苦痛をまとめるようにすれば(たとえば、出勤前に支払いをして、友達からのメールを昼休みに読むようにすれば)、その1日は、イヤなことの後に良いことがあったと記憶されます。そのほうが幸福感が感じられるはずです。脳は、時とともに経験が好転するパターンを好むからです。

この原理は、1日を通して、さまざまなことに応用可能です。

・プロジェクト、家の掃除、宿題などに取り組むときは、一番嫌いな作業から手をつけましょう。それが済んでしまえば、あとは好転するばかりで、最後の満足感も高くなります。

・新しい習慣を身につけようとしているなら、スタートを苦痛に感じる部分を、小さなセグメントにまとめましょう。これは、私が記事で書いたことですが、ある女性は、運動を続けられない原因となっていた苦痛を感じるポイントを1箇所にまとめ、その数を減らしたのです。最初に感じた苦痛を取り除くことで、運動が続けられる可能性が高まりました。

・ジムに行ったときは、もっとも苦手な運動から始めましょう。一番ハードな運動が終わってしまえば、ワークアウトの間、あなたの経験は好転するばかりなので、あなたはワークアウトをポジティブなものと記憶する可能性が高いのです。そしてワークアウトをポジティブなものと記憶すれば、あなたが次回もやってきてワークアウトをする可能性が高まるのです。


■ 長期スパンで苦痛をまとめる

自分の人生で正しい選択をしているかということは、誰でも気になるところです。しかし、困難な部分が最初のほうに固まっている物事(たとえばビジネスの構築、減量、アート作成など)をやるようにすれば、あとで思い返しても、よい思い出となるでしょう。それは、時とともに経験が好転するからです。

それに比べ、株式投資で勝つとか、プロのギャンブラーになるといったことは、非常に不安定で不確かです。大儲けできることもある一方、いつ大損するかわかりません。苦痛が必ずしも最初にあるわけではありません。したがって、こうした経験が長期的な幸せをもたらしてくれる可能性は低いのです。

もちろん、他の目標を達成するために苦労しているときは、そんなことは忘れがちです。取り組み始めたときは、「ビジネスの構築は、なんて大変なんだ。これだったら株式市場で利益を出そうとするほうがましなんじゃないか」と思ってしまったりもするでしょう。

このような違いを理解していれば、軌道から外れることを防ぎ、日々の仕事を不満に思っても、習慣の習得に努力し続けることができるでしょう。

・減量や強いアスリートになるための運動をするのが今はきついかもしれませんが、時とともにスキルが向上すれば、その経験がポジティブなものとして記憶されます。

・下手なアートを創作するのが今は苦痛かもしれませんが、熟練すれば、その経験がポジティブなものとして記憶されます。

・不確かな、起業初期の時代を切り抜けるのは、今は大変かもしれませんが、安定したビジネスが構築できるようになれば、その経験がポジティブなものとして記憶されます。


面倒や苦痛を最初にまとめる方法は、日々の作業や用事に応用できるだけではありません。先延ばしにしがちな、目標達成のための努力にも使うことができます。


■ この先どうすればよいのか

誰でも、最後に人生を振り返ったときに、楽しく幸せな人生だったと思いたいはずです。行動心理学の知識によると、人生も、時とともに好転したほうが、幸せだったと思える可能性が高いのです。

だからこそ、新しい仕事の新しいスキルの習得や、強く健康になるためのトレーニングや、何かに熟練するための努力の苦痛が、意味のあるものなのです。初めのうちは、新しいスキルを習いながら不甲斐ない思いをしたり、将来のために今の楽しみを犠牲にしながら不満に感じたりするかもしれません。しかし、初めのうちに苦痛に向き合うことを選べば、後で楽しむという恩恵を享受することができるのです。

喜びにあふれた人生への道は、喜びにあふれた顧客体験への道とそっくりです。この方法を使えば、たとえ面倒や苦痛に感じることをやり遂げなくてはならなくても、幸せに向かって進んで行けるでしょう。

だからこそ先延ばしをやめ、嫌なことは早いうちに片づけ、難しいことに今取り組みましょう。

Do the Painful Things First|James Clear
James Clear(原文/訳:和田美樹)
Photo by Shutterstock

最終更新:7/6(水) 22:10

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