ここから本文です

コンテ・イタリア式、4-4-2の“発展形”。守備の弱点を克服した“ネオ・カテナチオ”【西部の4-4-2戦術アナライズ】

フットボールチャンネル 7/6(水) 10:20配信

 アトレティコが躍進して以降、復活の感があるフラットな4-4-2システム。だが、昨今各国リーグで成果を上げている4-4-2は、以前のそれとは様相が異なっている。EURO2016でイタリア代表が採用したのは3-5-2であるが、それは4-4-2が抱える問題点を解決するための発展形だった。(文:西部謙司)

【写真】EUROを彩る欧州美女。スタジアムに現れた美しきサポーターたち

イタリアはカテナチオだったか?

 事実上の決勝戦といわれた準々決勝のドイツ戦にPK戦で敗れたイタリアは、3-5-2のフォーメーションだ。つまり4-4-2ではないわけだが、4-4-2の発展形ないしは変形なので取り上げてみたい。

 今大会のイタリアはコンテ監督が率いてきたユベントスと同じシステムを用いていた。守備のときには5-3-2、攻撃ではウイングバックが上がって3-3-4のように変化する。コンテ監督は「ただのカテナチオではない」と言っていた。そう、真のカテナチオないしカテナチオの進化形である。

 コンテ・ユーベ方式は、60年代に隆盛を極めたインテルやミランのカテナチオと同じではない。60年代はマンツーマン+リベロだったのに対して、コンテ監督のほうは90年代以降のゾーン式4-4-2をベースにしている。しかし、守備に万全を期しての堅守速攻という思考はカテナチオそのもの。できるだけ多く得点するのではなく、できるだけ少なく失点する(できれば無失点)ことを目指しているわけだ。

 5-3-2で守る形は、4-4-2の弱点である「ニアゾーン」「間受け」を消している。ペナルティーエリア幅を4人ないし5人(ときには6人)でカバーするため、SBとCBの間に広がりやすいニアゾーンが非常に狭くほぼ存在しない。間受けに対しては、3人のCBのうち1人が前に出て潰す。ユベントスの3CBはこれのスペシャリストである。

後方でのパス回しにより高まるポゼッション率

 ちなみにゾーンの4-4-2でフランスに大敗したアイスランドは、間受け+ニアゾーンのダブルパンチを食らってジルーの先制点を許している。パイエの間受けに対してCBが前進して対応→パイエはワンタッチで下げる→前進したCBがラインに戻るがライン不揃い→CBの間にポジションをとったジルーが斜めに動いてニアゾーンを攻略、という流れだった。

 イタリアの5バックならこうはなりにくい。間受けに対してCBの1人が対応しても、すぐにラインへ戻る必要がない。すでに人数は足りているからだ。ラインが不安定になる要素は少ないしニアゾーンも空かない。

 攻撃は2トップへのクサビがほぼすべて。その起点は守備時の5バックである。今大会のイタリアのポゼッションが高いのは攻撃的なプレーをしているのではなく、縦パスの起点が5バックだからだ。後方で縦入れのタイミングを伺うためのパス回しをするので、ポゼッションが上がっているにすぎない。

 CBから直接2トップへ。それがダメならウイングバックを上げて空いたスペースにジャッケリーニが引いてきて、そこからトップへ。左へ下がるジャッケリーニは、CBからのパスを半身の状態のまま右足で引っかけるようにワンタッチでフィードする得意技がある。いずれにしても中盤を経由せず、後方からトップへ打ち込む形をパターン化していた。

1/3ページ

最終更新:7/6(水) 10:24

フットボールチャンネル

記事提供社からのご案内(外部サイト)