ここから本文です

カネの概念を根本から変える「ブロックチェーン」の衝撃 専門家らが議論

Forbes JAPAN 7/6(水) 18:40配信

「デジタル通貨」とその基盤技術である「ブロックチェーン」、さらに「人工知能」をテーマとしたカンファレンス、「ブロックチェーンと人工知能が変える未来」が7月5日、開催された。



2日間に渡るカンファレンスを主催したのはデジタルガレージ。同社の共同創業者でMITメディアラボ所長の伊藤穰一は冒頭、「ネットの登場が社会に与えたのと同様のインパクトが今後、デジタル通貨やブロックチェーン技術によってもたらされる」と述べた。

フォーブス ジャパン最新号で「お金そのものが、賢くなった未来」を提唱した伊藤は「インターネットの革新性が、メールというアプリケーションの便利さによって理解されたように、ブロックチェーンの技術的価値は、ビットコインの登場によって、広く知られるようになった」と述べた。

「ネットの場合はまず電子メールが普及し、その後ウェブという概念が広まり、様々なサービスが構築されていった。それと同様にブロックチェーンは技術的インフラで、その上にデジタル通貨の仕組みがある。高度に暗号化された台帳がチェーン状につながれ、ネットよりもセキュアな情報がやりとりできる。今後はデジタル通貨に限らず契約書や証券、資産譲渡など、あらゆる取引が低コストで処理可能になり、社会の構造を根本的に変えていく力になる」と力説した。

社会を根底から変えるブロックチェーン

とは言うものの、ブロックチェーンは未だ基本的な規格も統一されておらず、技術的インフラが未整備なのが現状。今回のカンファレンスでは、この分野の最前線を切り拓く専門家らが、その課題と可能性について論じた。

「ブロックチェーンの可能性」と題したキーノートを行なったのがブロックストリーム社の共同創業者、アダム・バック。今年2月、DGインキュベーション等から5,500万ドル(約56億円)の資金調達を行なった同社は、ブロックチェーンと連動する「サイドチェーン」プラットフォームを発表した。

バックは「従来の銀行とは違い、機械化アルゴリズムがリアルタイムで会計監査を行なう、ブロックチェーンのセキュリティの高さや低コスト性」を強調。「プログラミング可能なマネー」や手数料を限りなくゼロに近づける「スマートコントラクト」の仕組みに関して説明した。

続いて登壇したライトニングネットワーク社創業者のタデウス・ドライジャは、「1円以下の超少額決済が可能になるマイクロペイメント」。さらに、それが実現する「コンテンツのページ単位や時間ごとの課金が可能になる未来」といった利用モデルを明らかにした。

続いて登壇したのがBlockstack Labs社CEOのライアン・シア。マイクロソフトと共同で、IDを持たない人々に身分証明を付与する取り組みを進める同社は「アイデンティティを分散化プラットフォームで管理し、デジタル身分証明の分野に革新をもたらす」と述べた。この技術を用い、今後は暗号通貨を用いた投資信託や集団署名、特定の企業に依存することなくコンテンツを共有できるSNS等を構築可能にするという。

クリアすべき高いハードル

ブロックチェーン技術はウーバーやエアビーアンドビーのような、かつては想像もしなかった革新的サービスの源泉になりそうなテクノロジーに思える。しかし、広範囲に利用されるまでのハードルは高い。

冒頭の伊藤の発言に戻すと、「ブロックチェーン分野には、既に世界の投資家から、1000億円以上の資金が注がれている」とのこと。しかし、「ネットのようにとりあえずやってみて駄目だったらまたやり直せばいいというスタンスは通用しない」。何故なら、ブロックチェーンが扱うのは、通貨や証券、不動産など、格段に高いセキュリティが要求される分野ばかりだからだ。

「デジタル通貨とブロックチェーンの発展には、国家やステークホルダーを超えて、規格や政府との連携をコーディネートする存在が必要だ」。そのような思いから、MITメディアラボ内に中立的ポジションをとる「デジタル通貨イニシアティブ」も設立された。

巨大な可能性を秘めたブロックチェーン技術。その未来は今、信頼性や安定性、透明性といった多角的な視点から、慎重な吟味を重ねつつ切り拓かれようとしている。

Yuji Ueda

最終更新:7/6(水) 18:40

Forbes JAPAN

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Forbes JAPAN 2017年1月号

株式会社アトミックスメディア

2017年1月号
11月25日(金)発売

890円(税込)

Forbes ID 無料会員登録を受付中!
今ならもれなく電子版最新号をプレゼント

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。