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Brexit勝利の影響が早くもLCC(格安航空会社)を直撃!

HARBOR BUSINESS Online 7/6(水) 9:10配信

 Brexit勝利の結果を受け、ついに英国からの脱出を求めて反応した英国企業が出てきた。

 1995年設立されたロンドンのルートン空港をベースに置く格安航空会社イージージェットである。同社が懸念しているのは英国がEUから離脱することによって、英国の航空会社がEU圏内にて航空運営事業の経営許可(AOC)を失う可能性があることである。

 7億4000万人の消費人口を抱えるEU全域を対象に成長しているのが格安航空である。英国に本社を構える航空会社は英国がEUから離脱すればEUが加盟国の航空会社に付与する特権を失う可能性がある。それは格安航空としてのメリットを完全に消失することになるのだから、その懸念も当然であろう。

◆Brexit勝利で航空業界の株価に影響

 イージージェットが求めているのは英国以外のヨーロッパ大陸におけるEU加盟国での経営許可の取得である。当初、英国に本社を置いたままでこの取得を目論んでいた。しかし、経営許可の取得には本社をEU加盟国内に移す必要があることが判明して、同社はEU加盟各国と交渉を開始したという。イージージェットが求めているのはEUにおける航空区域(ECAA)のアクセスの維持である。英国がEUから離脱すれば、英国はこの航空区域へのアクセスも失うことになり、効率的な航路の設定も出来なくなる可能性が出て来る。それは燃費とフライト時間に直接影響するようになる。特にイージージェットの場合は英国国内よりも他のEU加盟国内での売上が多く占めていることから、他のEU加盟国の航空会社と同等の条件が付与されない場合は同社の存続も危ぶまれることになることになるのだ。

 ロンドンの3つの空港の年間の利用客は1億人。〈英国航空、イベリア航空、ブエリング航空からなるJAGホールディングの株価は37%下落し、40億ユーロ(4800億円)の値下げ〉となった。(参照「El Mundo」)。

 先述したイージージェットの株価も〈初日は20%下落したが、その後持ち直して14%の下落で収まった〉(参照「El Mundo」)。

◆歴史的ポンド安で燃料費も高騰

 また、英国の格安航空会社はポンドの値下げにも懸念を表明している。なにしろ、1985年のレベル以来の最高の値下げとなったのだ。対ドルにつきポンドは12%の切下げとなり、燃料のコストアップに繋がっている。その結果、イージージェットの〈今年7月から9月の売上は昨年比で8.6%の減少を予測している〉という。また金融サービスを提供するカンター•フィッツジェラルド社のロビン•バイド氏はイージージェットの今年の粗利は〈当初予測の7億3000万ユーロ(876億円)から14%落ち込んで6億3300万ユーロ(760億円)になる〉と予測している。(参照「El Mundo」)

 この様な状況を前に、アイルランドのダブリンに本社を構える格安航空No.1のライアン航空は〈この先12から18か月の間、英国と他のEU加盟国との新しい航路の開発を中断する〉ことを決めた。ライアン航空の〈売上の25%は英国の空港を利用〉して達成したものであるという。(参照「El Mundo」)。

 2015年度の世界の格安航空会社ランキングでイージージェットは4位にランキングされている。破格の価格を全面に強調するライアン航空の陰に隠れて目立たない存在であるが、イージージェットはスペインでも評判は良い。果たしてLCCを直撃したBrexit、この先どのような影響を及ぼしてくるのだろうか?

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:7/6(水) 9:10

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