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ニッセンの業績悪化から考える、カタログ通販の強み。 (酒井威津善 ビジネスモデルアナリスト)

シェアーズカフェ・オンライン 7/7(木) 5:00配信

先日、通販カタログ大手「ニッセン」の業績が思わしくないとのニュースが出ました。3期連続赤字でスタートした2016年度も直近5月売上で16ヶ月連続マイナス。商品の見直しやリストラ策を進めていますが、大きな成果には繋がっていないようです。スマホの普及が原因だとの指摘もありますが、打開策はないのでしょうか?

■ネットシフトは十分進んでいる
2015年度はニュースでも取り上げられていた通り、売上計画値1,620億円に対して、1,572億円、当期純利益は▲133億円。ニッセンホールディングスの決算概要によると、主な原因は商品開発体制の全面見直し過程における新規カタログ配布部数の削減、プロモーション費用の投下や販管費の削減などを実施したためとあります。これらの施策による売上高の減少はあったものの、15年度は3Q、4Qを通して営業利益の改善が進んでいました。

こうした状況に陥った背景に、ファストファッションの台頭やスマートフォン普及が指摘されています。しかし、それらは原因の一部でしょう。理由は2つ。一つは、ニッセンは数年前からオンライン化を取り組んでおり、すでに売上構成比の60%以上がオンラインで占められていること。そして、通販カタログというビジネスモデルの強みが時代の変遷とともに逆刃になってしまったことが考えられるからです。

■通販カタログの強みと弱み
通販カタログビジネスは、カタログという媒体を通して消費者とつながり、様々な商品を流通させるインフラ・ビジネスです。カタログを通して世界観を伝え、顧客に選ぶ楽しみを提供する。これがカタログビジネスの強みです。カタログは参入障壁となり、差別化の源泉を構築していました。ところが、時代の流れはその強みを弱みに変化させてしまいました。それは次のような3点です。

一つ目の弱み。それはカタログが重く、「携帯性」に欠けること。スマホは単に情報だけではなく、「~ながら」という新しい行動形態を消費者に提供しました。結果、「時短」というキーワードに象徴されるように、お金に限らず「時間」もデフレ化が進みました。ライフスタイルの中で、カタログだけをじっくり見て商品を選ぶという動作を求めづらくなってしまったのです。

2つめは、情報の「検索性」に欠けること。アナログの情報媒体に対して、「検索」機能を求めるのは限界があるかもしれません。しかし、手っ取り早く必要な情報を得ることが当たり前となった消費者にとって、どこに何があるのかがわかりづらい「カタログ」は使いづらい。もちろん、これはカタログに限ったことだけではありません。あらゆるアナログ系の情報媒体に及んだ現象の一つで、産業構造を大きく揺さぶった原因の一つでもあります。

そして三つめが情報の「拡散」ができないこと。カタログによって形成されていた会員の囲い込みと相対する機能です。これは検索と同様、友人からシェアされた内容を元に消費行動を決める現在の消費者にとって必要不可欠な機能です。カタログの写真をスマホで撮って、インスタに載せる。そんなことも考えられますが、間違いなく著作権がからみます。それ以前にソーシャルボタンのクリックに比べて非常に手間です。

こうしたカタログの弱点を見て、さらにオンライン化へと傾注するのは得策ではありません。ECという戦場は、アマゾン、楽天、ヤフーによって寡占化されている上、そもそも「差別化の形成」がしづらい場所だからです。もちろん、すでに700万人とも言われるネット上のニッセン会員を捨てるのもあり得ません。そこで提案したいのはさきほど挙げた「カタログ」の弱みを補強しつつ、本来ニッセンが持つ強みとネットを併用するビジネスモデルです。

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最終更新:7/7(木) 5:00

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