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浅野拓磨、移籍決定もアーセナルではプレー不可能か。大きな壁となる英国の厳格な労働ビザ基準

フットボールチャンネル 7/7(木) 7:00配信

 浅野拓磨のアーセナル移籍が決まった。ただし、浅野は乗り越えるべき大きな壁がある。それは労働ビザの発給だ。浅野の場合、特例がなければ発給は難しい状況にある。多くの日本人の壁となってきたこの英国の基準はどのようなものなのか。(文:ダン・オロウィッツ)

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問題は代表キャップ数と日本のFIFAランキング。現状では……

 日曜(3日)午後、サンフレッチェ広島の浅野拓磨がプレミアリーグに挑戦する9人目の日本人選手となることが決まった。レスターの岡崎慎司やサウサンプトンの吉田麻也、元マンチェスター・ユナイテッドの香川真司らの選手たちに続くことになる。

 だが、浅野はエミレーツ・スタジアムのピッチに足を踏み入れる前に、EU圏外から加入する外国人選手を対象とした、労働ビザ発給に関するプレミアリーグの新規定に定められた厳格な審査に臨まなければならない。

 イングランドの選手たちにより多くの出場機会を提供することを目的としてイングランドサッカー協会(FA)が昨夏導入した規定により、プレミアリーグのクラブがEU外の選手たちを獲得するのは従来以上に困難となりつつある。

 選手の労働ビザ取得申請をFAが自動的に承認するためには、その選手が代表チームでの公式戦に一定以上の割合で出場していなければならない。例えばW杯やアジアカップなどの予選および本戦といった試合だ。

 その割合は選手の出身国によって異なり、たとえば過去2年間のFIFA世界ランキングで通算10位以内の国なら30%の試合出場、31位から50位までの国なら75%の試合出場となる。

 つまり、2年間の通算順位が53位となっている日本の選手は、FAから自動的に承認を得ることはできないということだ。さらに、たとえ日本のランキングがもっと上だったとしても、東アジアカップやキリンカップで記録した浅野の代表キャップだけでは承認を得るのにとても十分なものではない。

FAの基準を満たしていない浅野

 アーセナルがFAへの要請を行う場合、浅野についての申請は3名で構成される特例委員会に提出されることになる。委員会はまず2段階の基準に基づいて選手の適性を審査したあと、クラブからの主張を聞いて審議を行う。

 特例委員会が承認を検討するためには、「パートA」で4ポイントあるいは「パートA」と「パートB」で累積5ポイントに達するだけの基準を満たしている必要がある(パートAとBの詳細に関しては表を参照)。

 過去には岡崎慎司や川島永嗣といった選手たちの経歴が委員会を動かすことに成功したものの、浅野がこのリストで5ポイントの獲得を達成できないことは明確だ。21歳以下の選手たちに対するある程度の緩和規定が適用されたとしても変わりはない。

 浅野が「パートA」で4ポイント以上、あるいは「パートB」で必要なポイントを獲得することができたとすれば、クラブは委員会に対して追加情報を提出することが認められ、彼が「特別な才能」として承認を得るための訴えを行うことができる。

 この夏に開催されるリオ五輪で目覚ましいパフォーマンスを見せたとすれば強力な説得材料となる可能性もあるが、やはりアーセン・ヴェンゲルとしては宮市亮のケースと同様の形となることを考えているのではないだろうか。宮市も、アーセナルが労働ビザ取得の過程を世話した日本人選手の1人だった。

 最終的に浅野拓磨がアーセナルのユニフォームを着る姿をファンが目にするためには、彼が「トップリーグ」(FAの定義によれば「FIFA世界ランキング通算トップ20のチームに大半の選手を供給する欧州サッカー連盟(UEFA)の6大リーグおよび南米サッカー連盟(CONMEBOL)の2大リーグ」)で力を証明し、ヴァヒッド・ハリルホジッチのもとでレギュラーポジションを掴むまで待つ必要がありそうだ。

 その前に、まずはエミレーツ・スタジアムでのメディカルチェックを完了し、契約のサインを済ませた上で、来シーズンを戦うためのレンタル先を見つける必要があるのだが。

(文:ダン・オロウィッツ)

フットボールチャンネル

最終更新:7/7(木) 9:44

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