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【現地発】“負け犬”ウェールズを「大成功」に導いた3つの要素

SOCCER DIGEST Web 7/7(木) 11:29配信

大会前は「イングランド戦が俺たちにとってのファイナルだ」。

 初出場国ウェールズが、ついに力尽きた。
 
 前半は互角に近い展開を見せたが、50分にCKからC・ロナウドに先制を奪われると、3分後にもナニに追加点を献上。この時点で勝負は、ほぼ決した。
 
 グループリーグから全力でトーナメントを勝ち上がってきたウェールズだが、6試合目となる準決勝では、さすがに疲れが目立った。
 
 ラムジーを出場停止で欠いたこともあり、攻撃はベイル頼みに。そのベイルも中盤の組み立てに顔を出すことが多く、ゴールに近いところでのプレーに専念できず。ベルギーを破った時の勢いや意外性が消え、逃げ切りに入ったポルトガルの守りを崩せなかった。
 
 それでも大成功である。
 
 大会が始まる前、ほとんど全てのウェールズ人が「イングランド戦が、俺たちにとってのファイナルだ」と語っていた。
 
 だが、それから実に3週間近くフランスに留まり、本物のファイナルまであと一歩に迫った。6度も国歌を歌い、その素晴らしい歌声は欧州中に知れ渡ることになった。
 
 誰も予想しなかった準決勝進出は、最後まで戦い抜く旺盛な闘争心によってもたらされた。
 
「赤い壁」と呼ばれるウェールズのゴール裏では、トランペット隊がしばしば映画『ロッキー』のテーマを吹いてチームを鼓舞する。この選曲には「俺たちはアンダードッグ(負け犬)だ。苦しいところから這い上がるんだ」という精神が伝わってくる。
 
 実際、ベイルとラムジーを除けば無名ばかりであり、肉体的にも恵まれていないウェールズの選手たちは、サポーターの歌声に鼓舞されるように、最後まで身を粉にして戦い続けた。
 
 もうひとつ、この躍進は巧みな戦術によってもたらされたことも忘れてはならない。
 
 コールマン監督は常に3-5-2の布陣を敷き、まず敵の攻撃を受け止めるところから試合を始める。だが、決して守備的にはならない。逃げ切りの時間は別として、左右のWBは反転速攻に備え、常に高い位置に踏み止まった。
 
 3バックでしっかりと守りを固めながら、撃ち合いの姿勢も崩さない。このことが10ゴールという数字に繋がった。
 
 当初、ベイル頼みのチームといわれたウェールズは、ベイルの活躍はもちろんのこと、チームとサポーターが一体になっての敢闘精神と巧みな戦術によって、準決勝まで勝ち進んだ。
 
 夢のような日々が、ついに終わった。
 
 美食の街リヨンでは今夜、陽気なウェールズ人たちの最後の宴が、盛大に繰り広げられる。
 
現地取材・文:熊崎 敬

最終更新:7/7(木) 16:43

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