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センスが香るトイレ本

本の話WEB 7/8(金) 12:00配信

 以前人の本棚を見るのが好きと言いましたが、本棚以外のそこら辺に置いてある本をチラ見するのも楽しいものです。リビングに乱雑に置いてある雑誌(男性の場合ブルータス率が高い、見られても恥ずかしくなく程よくオシャレだからか。女性の場合はフィガロの旅行特集。日常の間にせめて海外の夢を、ということか)、デスクの上の漫画(仕事中本棚から取り出して読んでしまった)、キッチン周りにある料理本(我が家ではツレヅレハナコさんの本がブーム)、そしてトイレ本。

 トイレに本を置く派、置かない派と分かれますが、最近置く派は少数になってきている気がします。風水的にNGだとか不潔だとかのイメージがあるからなのかもしれません。立派な日本の文化だと思うのですが……。そして、人の家に行ってトイレ本があると、男女問わず仲良くなれそうな気がする。

 本棚には「人から見られた時に恥ずかしくない本棚を」みたいな邪念が入っていて、その人の本当の好みを見るのは結構難しいのですが、トイレ本は素の感じが強い。人を呼ぶに当たり、どれだけ計算してビジネス誌や蔦屋書店で買った三千円くらいする海外のオシャ雑誌をリビングに置こうが、トイレ本にまで気が回らず『BOYS BE…』だとか『黄昏流星群』だとか『美味しんぼ』だとかが息を潜めているのを見ると、「ププッダダ漏れですよ~」なんて気分になって、好感度がグッと上がるのです。

 そんなトイレ本の中でも、センスがいいな~と思ったのが、『電気グルーヴのメロン牧場』。電気グルーヴの連載をまとめたものですが、見た時にうわっ、トイレ本としてこれ以上の正解は無いのではないかと。内容とトイレとの相性も、一章の長さも、何もかもが完璧でして。この家主はこういうちょっとしたところでセンスが良いぞ、多分人生を楽しむ方法をよく知ってるんだなぁと。

 ジャンルがまったく違いますが、ギリシャ哲学の文庫本なんかもいいですね、考え事が一番進む空間と相性バッチリ。

 逆にトイレにオシャレな本が置いてあると、そこに見栄を張る?ってちょっとびっくりするんですよ。トイレでパリジェンヌのバカンス特集なぞ読みたくないし。

 さて、我が家のトイレは今の所、『超クソゲー』(阿部広樹、箭本進一著)というタコシェで購入したクソゲーレビュー本が鎮座しています。トイレ本を意識しだしてから、マヌケな本を見つけては、これはトイレにぴったりだ、なんてやるようになり、見せ本棚とは別に一つ楽しみが増えたのであります。

文とイラスト:犬山 紙子

最終更新:7/8(金) 12:00

本の話WEB