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6月FOMCの議事要旨-It was prudent

NRI研究員の時事解説 7/8(金) 9:10配信

はじめに

6月FOMCの議事概要は、今後の政策運営について具体的な言及を避けるという慎重さが目立つ。その意味では、会合直後の記者会見でイエレン議長が維持した姿勢とも整合的であるし、4月会合の議事要旨のような観察者にとってのサプライズもない。それでも、政策決定を巡る議論の記述は、FOMCが直面している悩みを素直に示唆している面もあって興味深い。いろいろあって少し出遅れたが、いつものように内容を検討したい。

経済情勢の判断と先行き見通し

FOMCにおける金融経済情勢に関する議論自体(6ページ右段~8ページ右段)は、6月会合後のイエレン議長の記者会見や声明文の内容に照らして、特段の新たな内容を含むものでない(この間に、FRBが半期に一度のMonetary Policy Reportを公表したことも、既視感につながっているのであろう)。

そこで今回は、FOMCメンバーの意見が分かれた点に注目することがむしろ有用であろう。例えば、設備投資の弱さが鉱業セクターだけに止まらず、ある程度広がりを持っている点については、企業収益の減速、期待成長率の低下、規制の先行きの不透明性、金融危機後の慎重姿勢の継続といった様々な理由が提示されたが、今後更に拡大するかどうかには意見の相違が窺われる。

また、4月と5月の雇用者数の増加が急低下したことについては、労働市場の改善自体に変調が生じたと理解すべきでないとの意見が示される一方、産業別の雇用指数の低下や経済的理由によるパート雇用の増加といった指標とは整合的であるだけに、経済活動全般の減速を示唆すると理解すべきとの意見も併記されている。さらには、雇用環境の引締まりの下で労働供給の制約が表面化しつつあるとの理解も提示されている。

さらに、インフレ率に関しても、賃金上昇率が加速する兆しや経済資源の稼働率の一段の上昇、原油価格の反発やドル相場の安定化といった要素に注目する強気の見方がある一方で、稼働率とインフレ率との相関の低下や海外の低インフレの影響、一部の指標によるインフレ期待の低下などをもとに、中期的な2%目標への収斂に自信を失う意見も示されている。

その上で、既に6月会合の直後に明らかになったように、FOMCメンバーはSEPを経済成長率とインフレ率の双方の面でほとんど変えなかった訳である。だとすると、このように数字が不変であったことの理由は、FOMCメンバーが以前と同じ見通しを維持したからというよりも、主観的な不確実性は高まったが予想の中心は変わらなかったからであると理解した方が真実に近いかもしれない。

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最終更新:7/8(金) 9:10

NRI研究員の時事解説

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