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甲子園10年連続出場を目指す聖光学院(福島)。県内無敵の強豪が直面する苦しみ【2016年夏 注目校ルポ】

ベースボールチャンネル 7/8(金) 17:00配信

9連覇にある苦悩。「赤い絨毯に乗った」チーム状況

 夏の福島大会前の最後となる練習試合は2連敗で終わった。試合後、聖光学院の斎藤智也監督はバックネット裏の部屋で椅子に座り、グラウンドを見つめてつぶやいた。

「俺が動かないとわかって、自分たちでサインを出してやり始めたな」

 選手たちは状況を設定したバッティング練習を開始。斎藤監督がグラウンドで指示を出さないことを察知し、選手間でサインを出して練習を始めた。

 このグラウンドから毎年のように甲子園に向かっている。2001年の初出場を皮切りに、07年からは夏の福島大会無敗で現在、戦後最長となる9年連続で甲子園に出場している。過去には、08年夏から13年秋まで県内の公式戦で95連勝と無敵の強さを誇った。

 しかし、13年秋、14年秋と2年連続して県大会で日大東北に敗れると、この春は準決勝で磐城に敗戦。ここ2、3年、斎藤監督からは聖光学院の核となる部分と現状のギャップを聞く機会が増えた。甲子園出場に手が届かないチームからすれば、9年連続で聖地を経験していることは羨ましい限りだが、そんなチームも苦悩と向き合い、戦っている。

「ここ3、4年だね。聖光学院に来たら甲子園はいただきだって思って入学してきている。その考えをチャラにして作り直すというのは本当に大変なことだと痛感している。甲子園に90%は行けると思ってくる選手たちに高校野球、甲子園はそんなに甘くないぞって言っても『え? そうですか?』と思っているんだよ」

 聖光学院に行けば甲子園に行ける。その考えを斎藤監督は「赤い絨毯(じゅうたん)に乗っかっている」と表現する。その“赤絨毯”を取っ払おうとミーティングで問いかける時間は長くなる。

選手たちが心の底から納得しなければ、いくら話しても“赤絨毯”は敷かれたままだ。根気強く、話し続ける。そんな日々で斎藤監督は最近、こんな話をよくするという。

「(180校以上が出場する)神奈川県に行こうよ、って。勝ちが前提の試合になるか? と、選手に聞くと『負けが前提の戦いになります』って言うんだよ。福島では勝ちが前提の試合(勝って当然)になるから思うようにいかないと小さくなる。負けが前提のチームは小さくならないんだよね。夏の大会に近づけば近づくほど、 “人事を尽くして天命を待つ”に向かっているはずなんだけど、まだ勝ちを手放すことができず、天に預けるということができない」

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最終更新:7/8(金) 17:41

ベースボールチャンネル

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