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人間の行動を促すコツは「名詞化」にあり:研究結果

ライフハッカー[日本版] 7/8(金) 22:10配信

Inc.:人間の認知バイアスを列挙したリストを見ると、その長さに驚きます。「利用可能性ヒューリスティック」から、「ツァイガルニク効果」まで、このリストに並んだものをざっと見ただけで、「私たち人間には論理的な決断は下せない」とか「合理的な計画など立てられるはずがない」と絶望してしまうでしょう。

でも、案ずることはありません。私たちの脳は得体の知れないマシンかもしれませんが、その特性を知ることで、こうしたバイアスの多くを、良いほうにも悪いほうにも利用できるのです。もしかしたら、公共政策の領域でバイアスを活用した有名な事例を読んだことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。たとえば、臓器提供に関してオプトイン型ではなくオプトアウト型を採用した例があります(臓器提供をはっきり拒否した場合のみ摘出を断念するのが「オプトアウト型」、提供をはっきりと認めた場合のみ摘出するのが「オプトイン型」。日本はオプトイン型を採用している)。しかし、ビジネスの世界にも、人間のバイアスを利用する方法があるのです。

もっともよく知られているものは価格設定に関するバイアスでしょうが、認知バイアスは、私たちがアプリやウェブサイトをデザインしている時にも影響を及ぼします。『100 MORE Things Every Designer Needs to Know About People』の著者であるSusan Weinschenk博士は、そうしたバイアスを分類して一躍有名になりました。このテーマに興味が湧いてきたという方は、同教授のブログは必読です。奇妙ながらも魅力的な最近の投稿では、バイアスが作用する理由を適切な例を挙げて示しています。

名詞化すればクリックも増える

Weinschenk博士は投稿内で、もっと多くの人たちに「登録」や「購読」のボタンをクリックしてほしければ、動詞を使ったフレーズ(例:投票する[Vote now!])から、名詞を使ったフレーズに(例:投票者になる[Be a voter!])に言い回しを変えてみるよう提案しています。この2つがまったく同じ意味を持つことは、小学生でもわかるはずです。では一体なぜ、2つ目の言い回し、つまり名詞を使ったフレーズのほうがずっと多くのクリックを生む結果になるのでしょう?

この提案の基になっているのは、スタンフォード大学の心理学者、Gregory Walton准教授による研究です。Weinschenk博士は次のように解説しています。「Walton准教授は一連の実験で、『ラベリング』が行動にどのような影響を与えるのかをテストしました。私たちは、好みや、物事に対する考え方は不変のものだと思い込みがちです。オペラが好きか、嫌いか。踊りに行くのが好きか、嫌いかといったことです。けれどもWalton准教授は、突き詰めれば、こうした姿勢や好みはそこまで不変のものではないのかもしれないと考えました」
言葉による表現(ラベリングの有無)が私たちの好みの強固さに影響を及ぼすのではないか、とWalton准教授は考え、それに対する答えを解明しようとしたわけです。

そして研究の結果、例えば「Bethは野球ファンだ」と言った時のほうが、「Bethは野球をよく見る」と言った時よりも、Bethの野球好きの度合いはずっと高く評価されることがわかったのです。また、Walton教授と同僚たちは追跡実験を行い、認知におけるこの違いが実際の行動に影響を及ぼしうることも証明しました。人々は「今度の選挙で投票者になること(to be a voter)は、あなたにとってどのぐらい重要ですか?」と聞かれた場合のほうが、「今度の選挙で投票すること(to vote)は、あなたにとってどのぐらい重要ですか?」と聞かれた場合よりも、投票のための登録手続きを行う可能性が大幅に高くなったのです。

一体、何が起きているのでしょう? Weinschenk博士は次のように説明しています。「誰もが、何かに所属する必要を感じています。そこで、行動が名詞化されることで、グループアイデンティティ(集団同一性)が呼び覚まされるのです。アイデンティティは『投票者』でも『会員』でも『寄付者』でもかまいません。ですから、人に何かを頼む時には、それを動詞ではなく名詞で表現すれば、集団に所属しているという意識が呼び覚まされ、依頼に応じてもらえる可能性は大幅に高くなります」

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最終更新:7/8(金) 22:10

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