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映画『シング・ストリート 未来へのうた』:ロックへの想いが満載の名作

ローリングストーン日本版 7/9(土) 10:30配信

80年代ダブリンを舞台に、ロックに対する想いが満載の名作が誕生した。

音楽は心にじわりと染み込んで、気がつけば人生を狂わせていく。そのことを知り尽くしているミュージシャン出身の映画監督、ジョン・カーニー(『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』)が脚本と監督を手掛けた最新作が『シング・ストリート 未来へのうた』だ。1985年をダブリンで過ごした彼自身の青春時代の想い出をもとにした本作は、優しくて、厳しくて、魅力に溢れている。



新星フェルディア・ウォルシュ=ピーロの見事な演技が光っているのが主人公のコナーだ。14歳のダサい少年だけれど、ロックスターになるのを夢見ている。なぜか?理由はズバリ、『初恋』だ。そのお相手はモデル志望のラフィーナ(ルーシー・ボイントンがいかにもな感じで輝いている)。この素敵な歳上の女性をものにすべく、コナーは自分のバンドのミュージック・ビデオに出演して欲しいと彼女に依頼する。

しかし、本当はビデオを作る予定なんてないし、そもそもバンドさえやっていない。そこでコナーが巻き込むことにしたのが、マーケティングの名手、ダーレン(ベン・キャロラン)、アフリカ系キーボード・プレイヤーのンギグ(パーシー・チャンブルカ)、そして、楽器なら何でも弾けるエイモン(マーク・マッケナが名脇役ぶりを発揮)だ。マリファナ漬けの引きこもり兄貴、ブレンダン(ジャック・レイナーがスパイシー)の協力も得て、コナーたちのバンド、シング・ストリートは船出するのだが...。

ミュージック・ビデオ全盛期の80年代を舞台に、灰色のダブリンの空をコナーの妄想で虹色にきらめかせるカーニー。本作には、音楽の楽しさと燃えるような恋が溢れかえっている。しかし、決してソフトな作品ではなく、盛り上げておいて待ったをかけるカーニーのタイミングは絶妙だ。娯楽性満載でありながら、カーニーのロックに対する想いがたっぷり詰まった名作がここに生まれた。


『シング・ストリート 未来へのうた』
★★★½

監督/ジョン・カーニー
出演/フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ルーシー・ボイントン
7月9日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほか全国順次公開
http://gaga.ne.jp/singstreet/

Translation by Yuko Kubota

Peter Travers

最終更新:7/9(土) 10:30

ローリングストーン日本版

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