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Brexitで英国に愛想をつかせた米国、EU内の新たな同盟国を模索中!?

HARBOR BUSINESS Online 7/9(土) 16:20配信

 英国のEU離脱が決定してから米国はヨーロッパにおける英国に代わる同盟国を求めているという見方が強まりつつある。

 そもそも米国と英国の同盟関係はそれ程古い時代から存在していたのではない。1776年に英国からの独立した米国が、独立後初めて英国と”和解”する機会になったのは1917年のことだ。つまり、ウイルソン大統領政権下の米国が、ドイツをリーダーとする中央同盟国に宣戦布告してイギリス、フランスを軸とする同盟軍に加わった……ときのことである。

 そして、第二次世界大戦でドイツ軍がヨーロッパの東部戦線と北アフリアで留まることのない侵攻を前に、チャーチルはアメリカの参戦を要請した。第二次世界大戦以降は両国の関係は最近まで一枚岩の同盟関係を維持していた。

 しかし、最近の二つの出来事によって米国は英国への信頼を失いつつあった。

 ひとつは、シリアのアサド政権が化学兵器を使ったのが発覚したときのことだ。米国はそれがレッドラインを踏み越したとして軍事介入を決定しようとししたが、英国は、キャメロン首相が議員説得するために十分な事前工作もなく動議をかけたために、否決されるという事態になったこと。

 もうひとつは、英国が中国の主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に率先して参加したことである。

◆英国の「後釜」はどこの国?

 そして、ついに今回の国民投票におけるEU離脱派の勝利が、その英国への信頼感喪失に止めを刺したという見方が浮上している。 米国は英国に見切りをつけてヨーロッパにおける英国に代わる同盟国を探すことを決めたというのだ。

 では、米国は「英国に代わる同盟国」としてどこを選んだのか? 結論から先に言えば米国はドイツとフランスとの関係強化に向かう可能性が高い。

 4月にドイツのハノーバーで開催されたテクノロジーメッセの期間中に、日本とカナダ抜きのG5の首脳会談が開かれた。このG5は〈メルケル首相がオバマ大統領に3度懇願した〉ことから実現したものであったという。(参照「ABC」)

 この首脳会談でヨーロッパが抱える種々問題が協議された。その僅か1か月後に日本の伊勢志摩でG7が開催された。メルケル首相は何故か日本でのG7の開催まで待てなかったようだ。それにしても、ひと月後にはG7で充分なる会談が出来るにも拘らず、オバマ大統領がメルケル首相の要望に応えたという背景には米国とドイツの絆がより強まっている証拠だとも考えられる。

◆ドイツ・フランスは英国に代われるか?

 このG5首脳会談に出席したオバマ大統領は〈アフガニスタン、イスラム国、シリア、ウクライナのそれぞれ問題は「ドイツなしには(解決が)不可能であった。(ドイツとの)この関係は私の大統領としての職務中で最も重要な関係のひとつだ」〉と述べた。(参照「ABC」)

 またオバマ大統領が〈この数年間、ヨーロッパにおける重要な問題を相談する際に電話をする相手はいつもメルケル首相〉だったとしている。そして、〈テロとの戦いで鍵を握る同盟国としてフランスが米国に信頼される国〉となっている。問題は〈両国が嘗て米国が英国に与えていたような影響力を発揮出来るか〉ということである。(参照:「El Pais」)

 なにしろ、ブルッキング研究所のフイオナ・ヒル部長が指摘しているように、〈英国はこれまで米国にとって政治、経済、安全の各テーマを含めた広い範囲の中で共通の観点をもってヨーロッパの中で錨のごとく〉重く深く食い込んでいたのである。(参照:「El Pais」)

 問題はドイツとフランスが英国に代わってどこまで米国と同盟関係を維持出来るかということである。

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:7/9(土) 16:20

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