ここから本文です

脳に関する研究結果に誤りの可能性? fMRIのソフトウェアにバグを発見 ─欠陥はすでに修正も残る不安

Forbes JAPAN 7/10(日) 12:00配信

脳やその活動の状態を視覚化するために幅広く利用されている画像技術、磁気共鳴機能画像法(fMRI)について先ごろ、ある大きな発見があった。良い発見ではない。私たちの脳の働きについて過去15年間に実施され、発表された4万件近い研究結果が誤っていた可能性があるという(この文章は、フォーブス寄稿者ブルース Y. リーの見解に基づくものです)。



米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された論文によると、スウェーデンにあるリンショーピング大学の研究者らがfMRIのソフトウェアにバグを発見した。つまり、私たちが働いているとき、遊んでいるとき、運動をしているとき、セックスをしているときの脳の状態として示されてきた研究結果の多くは、間違っているのかもしれないのだ。

ソフトウェアが適正に動作していなかったというのであれば、撮影された画像が示す結果は正しいものではないはずだ。活動していると考えられていた脳の部分は、実際には活動していなかったといえる。

どれほどの時間と努力、資金が無駄にされたことになるのだろうか。脳に関する誤った結論は、誤った治療法の開発や導入につながってきた恐れがある。

不可解な画像を発見

論文によると、リンショーピング大学の研究者らは健康な被験者499人を対象に行ったfMRI検査の画像から、複数のソフトウェアの一部にバグがある可能性を確認した。

脳のうち、特定の活動をしている状態では明るい色に示されることがないはずの部分が明るく表示されている画像があり、調査した中には偽陽性率が70%に上った研究もあったという。ソフトウェアの問題点は先ごろ修正されたというが、それまでの約15年間、fMRIは技術的な問題がある状態のまま使われ続けてきたことになり得る。

このバグは、なぜもっと早い時期に発見されなかったのだろうか?理由はいくつかある。

問題はなぜ放置された?

まず、医学研究に利用されるソフトウェアそのものに関する研究が十分に行われていなかった。ソフトウェアの改良の方法や、新しいものの開発についても、研究されていなかった。

第二に、科学文献はすでに発表されている研究結果の再現実験を掲載したがらない傾向がある。そして同時に、出資者がそうした研究への支援に積極的ではない点が挙げられる。つまり、研究結果が一度公表されてしまえば、その内容を他の研究者が確認したり、再検証したりしようとする動きを後押しするものはないということだ。

誤っている可能性がある4万件近い研究結果について、今後どうするのかは明らかにされていない。これらの研究結果のどの程度までを、私たちは信頼することができるのだろうか。

結果を誰が確認するのか、研究のやり直しは、誰が担当するのか。そして、一連の問題について誰が補償するのか。さらに、ソフトウェアの欠陥は今後、どのような予期しない結果を招くのだろうか?

この問題は今後、より大きな問題へと発展する可能性がある。そのとき対応に必要となるのは、私たち人間の脳の中の、一体どの部分なのだろうか。

Bruce Y. Lee

最終更新:7/10(日) 12:00

Forbes JAPAN

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Forbes JAPAN 2017年1月号

株式会社アトミックスメディア

2017年1月号
11月25日(金)発売

890円(税込)

Forbes ID 無料会員登録を受付中!
今ならもれなく電子版最新号をプレゼント