ここから本文です

都知事選 小池百合子氏インタビュー議会のドンに牽制球

Japan In-depth 7/11(月) 8:50配信

私が初めて小池百合子氏を取材したのは、1993年7月の衆議院選挙の時だ。

誕生したばかりの日本新党は当時政治部的に泡沫だった。新聞テレビは、番記者を送りこむ発想もなく、経済担当だった小生が送り込まれ、現場に張り付いた。各社同じような状況で、新聞でも科学部とか文化部記者など、政治部記者はほとんどいなかった。当時の政治部は、日本新党など眼中になかったからだ。その後、党首細川護熙氏が首相になったのはご存知の通りだ。

それから23年、その間小池氏は環境大臣、防衛大臣などを務めた。自由民主党においては、広報本部長、自由民主党総務会長なども。環境大臣時代は「クールビズ」を推進した。そしてあまり知られていないが、今から4年前、自民党政務調査会が立ち上げた「女性が暮らしやすい国はみんなにとっていい国だ特命委員会(1192特命委員会)」で小池氏は委員長を務めていた。その提言は当時それほど注目されなかったが、女性の活躍が経済を底上げする、いわゆる「ウィメノミクス」のたたき台となった。

画期的だったのは、社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする“2020年30%”(にぃまる・さんまる)の目標達成や、性別等を問わず多様な人材を活用する企業からの物品等の調達に関する「ダイバーシティ促進購入法」の制定、さらには、「残業ゼロ」社会(ワーク・ライフ・バランス)の推進、女性候補の比率(または議員比)に応じて、政党への政党交付金を傾斜配分する仕組み等を盛り込んだ「政党助成法改正案」の議員提案、女性候補者・女性議員増加促進のための法律改正、などの提言を纏めたことである。どれも実現途上ではあるが、アベノミクスが掲げる女性の活躍を推進するために必要な施策は当時既に出来ていたことになる。

さて、その小池氏だが、満を持して都知事選に立候補を表明した。例によってテレビや新聞を見ていてもその政策は見えてこないので、直接本人にインタビューをした。



安倍:三つの宣言、というのを出されました。冒頭解散できる、できないで、皆さん騒いでますけども、あえてこれをぶつけられたということは、解散権限が首長にないということを分かってらして敢えておっしゃった?



小池:はい、もちろんそうです。あの会見をずっとご覧いただいていたら、それは“不信任を受けること”を大前提に、と言ってます。そこの部分がボンと抜けちゃっている。



安倍:そうですね。



小池:まぁ、タイトルに冒頭解散と書いちゃったこともあるけど、とにかく、私はこれで一石を投じたと思っている。



安倍:議会に対する牽制球ですか?



小池:ターゲットがどこか、ということを明確にするという意味です



安倍:それは(自民党の)都連ですね?



小池:都連の一部ですね。



安倍:都連の一部、それを明確にしたと。名前は出さないけど



小池:それは出しませんけれども。議会のドンです。



安倍:でも聞いている人は分かる。



小池:でも一般の方は、都連が何が何だかわからないでしょ?で、都議会の方々も現状を憂いておられる方もいます。ある意味彼らの思いを代弁したい思いもあります。



安倍:なるほどね。



小池:要は組織としてのガバナンス、の話ですね。



安倍:それが効いていないと。



小池:ガバナンスが効き過ぎていると言った方がいいかもしれない。



安倍:逆にね、負のガバナンスが・・・。



小池:そう、そうですね。



安倍:(議会で)不信任案が出るんじゃないか、という、何か情報があったんですか?



小池:要は、システムとしての話です。もうひとつあります。不信任絡みで言うならばね、リオ・オリンピック後、次の四年後のですね、知事選の時に、ちょうどオリンピックと微妙な重なりになります。であるならば、今回任期を三年半にすればどうか、と提言もしました。ただ法的には結構難しいんです。国民投票までいっちゃう話なのでね、憲法95条です。しかし色々工夫はしましょうよ、ということを私は提唱しているわけです。国民投票について、より身近にするのも必要かと。



安倍:なるほどね。



小池:やっぱりその方が全体が4年後の東京五輪もスムーズに行くんじゃないかな、と思いますね。



安倍:あえてその、一石を投じるという・・



小池:三年半過ぎた頃に、あえて不信任をぶつけてもらう(笑)

それが正義がどうか分かりませんけれども。できれば、都議会の方々も、協力していただいて。都民はそのことには賛成すると思いますね。



安倍:なるほど、さっきテレビで、この週末に世論調査をやって、小池さんが圧勝だという数字がでれば、自公相乗りになるんではないかと、



小池:まあ、数字操作もアリかと・・・



安倍:その番組で司会者が言っていたのは、素晴らしい、すごくいいタイミングだ、でもこんなに対立構造をあらわにするのは先が心配だと・・・



小池:大丈夫です。利権構造についてですが、私は利権や闇の問題点をチェックして、それを除去したい。実はひとつ実績があります。それは防衛省の守屋次官の退任です。

みんな知っているのに手をつけなかった、ということについては、私は目安箱っていって、情報を得ればそれを精査した形で、都民が納得のいかないことについては明確な判断を下すと、いうことで。

ただ騒いでいるのではなくて、実績はあります、と。で当時は、結果として守屋さん逮捕されるに至ったわけですけれども、やはりそこに、実際首をきったのは高村さんの時代だったですけれども、でも私がそういうバタバタやっているときに、山崎拓さんだったかな、「女にはもののふの気持ちが分からんからなぁ」って言われたの。



安倍:ありましたね。この利権と言いますのは、都の中にある様々なもの?



小池:そうですね、その、限らずね



安倍:オリンピックに限らず?



小池:巨大な箱物もあれば、様々ですから。そこは明確に、全体的にチェックをしていく。



安倍:チェックをしていくと、透明にしていくと。お金の使いかたについてね。



小池:えーそうですね。



安倍:すでにそういう声が入っているんですか?都の方から。こういうのは質してもらいたい、とか。



小池:内部告発?



安倍:的な。



小池:まだ受け止め皿がないですから。それをきっちり作ります。



安倍:なるほど。舛添問題なんて今更いいんじゃないか、とか言う人いますけれども、



小池:でもやっぱり。いつも大体、のど元過ぎて終わっちゃうので、メディアもですね、社説で“徹底解明すべき”と書いてて全然してないですよね。



安倍:はい。



小池:ポイントは、公私混同だと思うんです。そこの点が最大で、あとは、パブリックマネーをどう使ったかに対して、そこを解明することだと思います。



安倍:話戻りますけど、議会とこんなに対立しちゃって大丈夫なのか、という心配の声に対しては・・・



小池:リアリストです。一言。



安倍:なるほど、実際に都知事になられたら、内田さんとも相対峙してきちんと話す、と。



小池:当然ですね。はい。



安倍:まぁ、二元代表制で議会とガチンコでやってもうまくいかないことは誰でも知ってますものね。



小池:ええ。



安倍:都民のためだったら・・・



小池:はい、ていうかそのためにやるんだから。都民および東京のために。



安倍:今後の戦い方で、ちょっと時期早いんですけれども、どのように戦うか。



小池:もう誰がでるとかね、どっちが有利とかね、もうここに至ってはですね、しっかりやるしかないんです。で、基本的にもう何の後ろ盾もない、ということは清々しく戦えるし、手伝って下さるという方もずいぶんあちこちから、手を挙げていただいているんですが、ある意味そういった方々に、協力、支援していただくということは心強いですね。



安倍:なるほど。



小池:あまりね、こっち足してあっち足して、というよりも、今私がやっているのはかけ算だから。足し算じゃない。足し算引き算は興味ないですね。



安倍:少子高齢化、深刻な問題だと思うし、多摩地区とか、一気に高齢化が進んでいくと思いますが、どう取り組みますか?



小池:そうですね、多摩地区格差というのをゼロにしていくっていうのもひとつの目標です。あのニュータウンからオールドタウンに変わって、私ね、これ精査していますけれども、やっぱり空き家の問題ですね、高齢化の問題と一緒の部分がありますので、逆手にとってですね、空き家の部分を活用していく、ということも一点。

それから、高齢化で言うならば、私自身、母を自宅で看取ってますので、そういう意味で地域包括ケアシステムをしっかり都として支えていくと、促進していくと、も一つだと思います。

それから介護をする人が離職をしなければならない、ということは誠にもったいないことなので、介護をする方が、親御さんもね、一緒に介護のホームに入って、その人が職員になる、いろいろ介護士の資格であるとかありますけどね、会社で経理やっている人でしたら、別に介護しなくても、介護のお風呂入れたりの作業じゃなくて、経理をやればいいわけでしょ?とかね。



安倍:ちゃんと職があると。



小池:そう、ちゃんとそこに職があれば、やっぱりお母さんを自分でみているのと一緒になるのですから。



安倍:それ興味深いですね。



小池:ただまぁ、いろいろ規制はありますから。だから考え方ですよね。



安倍:そうですね。待機児童問題は?



小池:待機児童については、これは何万人というのがね、七千人とか八千人とかいう数字があるけれども、働くママさんが増えれば、女性が活躍して経済的な収入も得るということで、それは良いことだと思います。で、やはりこれから、仕事か子育てか選択を迫るっていうことはね、間違っていると思うんですね。ですから、その両方がね、他の国だったら容易にできることが、日本でできないのはやっぱり問題があるわけで、でそこのところは待機児童もゼロということで、その受け皿を作ると。

今朝ほどもですね、小岩の小規模保育をみてきました。14人の子供に、総勢11人かな、保育士さんがついて。保育士さんがね、あの待遇よくしてくださいね~って言っていましたけれど、やっぱりそういうところにお金をつぎ込むと、5万人だとしてもね、だいたい150億だと思うんです。

いずれにしてもその待機児童関連の予算というか、保育所関連の予算というのは、確か650億くらいね。それにあと150億つければ、5万人収容できると言ったらね、150億と言ったら、都の予算でいったら瞬きくらいですよ。その意思を持つということですよね。



安倍:病児保育。川崎市は、すべての区に、病児保育所があるんです。病児って、すごく女性が働くのに阻害要因になるんですよね。そういうのもぜひ取り組んでいただきたいなと。働く女性の問題ですよね。

それから、社会保障の負担がやっぱりものすごく増えていくじゃないですか?これはどう考えても財政を圧迫して行きますよね?



小池:基本的に、お年寄りといっても元気なお年寄りが圧倒的に多いんですよ。最後のどこかの段階で、病床に伏す事はありますけれども。だから日本人ってやはり働き続ける事は健康を保つ事みたいな、そういう世代ですから、いろんな働く場所を確保、もしくはつくるということだと思いますね。



安倍:次に防災インフラですが、首都直下なんかになった時の首都高の問題とか。そういう老朽インフラの問題なんかはどうしますか?



小池:それは早急に進めて行く。2020年までにですね、公共の重要な建造物については、早急に耐震化を進めていくということだと思います。一週間くらい前だったか10日くらい前だったか、震源地、豊島区って出て、びっくりして。23区で、わたしかなと思ったりして。



安倍:いろんな意味で震源地になってるっていうね。(笑)



小池:それから、無電柱化の話ですが、これは(都が)東京電力の大株主になってがんがんやろうと、、、まあでもも無電柱化は景観の問題よりはむしろ防災。



安倍:それから、都市としての魅力向上という問題がありますよね?



小池:東京ブランディングというのは是非していきたいですね。そして東京はもうすでにブランドだけれども、何にもしないうちにすでに置いていかれちゃったところがあるので。

ブランドっていうのは、伝統とか歴史とかそういうものがあって初めてブランドになりますから、だから私はもう一度そのインバウンドの観光客も含めてですね、東京のブランドというのは一体なんなのか。ずっと住んでると意外と分からないものなんですよね。ですから、軽井沢が宣教師によって、ここは素晴らしいといって今のあれになったり、ニセコはパウダースノーすごいじゃないかってオーストラリア人がもう殺到したり。今は中国人。わたしたちはずっといるとかえって分からなくなるので、出来ればブランディングですね。

とにかくオリンピック、パラリンピックですね。なによりも当面はね。私はむしろ、そこまでは色んなことやりますよ。

耐震化であったり。いざとなった時に、私は防衛大臣として申し上げるけれども、今回も熊本にですね、緊急物資を運ぶのに、ヘリコプターを使ったでしょ?つまり、こう降りるところ、もしくは上から落とすというのもあるけれども、もう少しヘリが発着出来る様な場所の確保。まあ、ど真ん中は難しいとは思いますけども。でもヘリポートもついているところも結構ありますし、それをもう少し強化していくと言う事だと思います。だから無電柱化でもって道を確保し、上から飛んで来て物資、人を送る、というのが最も正しい作戦だと思います。



安倍:木密対策も重要ですね。



小池:ええ。これはですね、私は阪神大震災の中にいましたから、長田区などはですね、結局、もう助けのすべが無い様なところが最後まで埋もれたわけですね。ですからこれをですね、もう既に色々対策をしていますけれども、とてもスローですよね。だから命を守るという観点ではそれは促進したい、加速させたいと思っています。



安倍:防災は是非お願いしたいですね。バリアフリーとかそういう住み易さとかアクセスとか特にオリンピックのときは10%くらいメトロの利用者が増えるとか、どう考えても千代田区それから、江東、有明のところは交通が厳しいですよね。



小池:そうですね。まあそれも2020年に向けて整備を急がなくては行けませんし、又、そうはいっても、大きなインフラを整えて行くというのはそう簡単じゃなくて、山手トンネルができるのに50年かかってるでしょ?



安倍:外環も今やってますけどね。



小池:ですからスピードアップ化はもうこれは必然ですよね。それからあと、ユニバーサル化というのは、これはもうパラリンピックの開催というのは良いチャンスというか目標になりますね。



安倍:EVの普及とか、FCVとか。山手線内走る車は全部エコカーにするとか、外国の方が来た時にインパクトのあるまちづくりみたいなのを期待したいですよね。



小池:そうですね。もうそれは当然だと思っています。



安倍:財政問題のなかで法人事業税が地方に持っていかれちゃってるじゃないですか。2020年以降、景気が頓挫するんじゃないかっていう見込みも長期で出ていますね。30年で日本の成長率がゼロになるというシンクタンクの予測もある中で、やっぱり財政収入がだんだん逼迫してくるんじゃないかという懸念もありますけど。



小池:それはね。都の資産、財産っていうものは結構あるんですよね。

例えばロンドンのシティっていうのは、様々な国家が管理している企業の株ですね、これを売ったり、それからコンセッションの形をとったりして、それでシティってのは大きくなった。膨らんだというかな。ビッグバンのあと。さらに元気になったわけですね。

今回の英国のEU離脱でどうなるかわかりませんが、私は基本的に選択と集中で、且つそのもっとも稼ぎ頭である東京っていうのをもっと稼げるようにするということがなによりも優先されるんじゃないかと思います。



安倍:金融特区な。



小池:もうすでにあるんです。やってないだけなんです。なぜか?というと英語の問題。それから、例えば、その海外からそういう役員が来た場合、(彼らの)子どもの学校をどうするか。そういった総合的な対策が必要であって。



安倍:そういうインフラですね。



小池:総合的なインフラです。

結局香港。今はシンガポール。私がキャスターやっていた頃は東京、ロンドン、ニューヨークというコンセプトでまわしていたんですね。それが東京どころかシンガポール、ロンドン、ニューヨーク。シンガポール、ドバイ、今度はロンドン、飛んでニューヨークかはわからないけれども。どんどん変遷するなかで、私はもう一度東京を世界の金融の中心にしていきたいという、そういう気持ちを大きく持っています。



安倍:テロ対策は?



小池:これについては、オウム事件をすでに経験していますけれども。一番重要な事は情報です,情報の共有、国際的な情報の共有。日本は水際でチェック出来るはずなので、いろんなテロがありますけれども、防げるという意味では、情報の共有というのが一番有効だと思います。

あとサイバーテロだって危ないですよね。これについては、目に見えないだけに、この脅威はますます高まっているという認識のもとで国と連携してサイバーテロ対策をやっていくということですね。



安倍:働く女性の問題。どうやったらより働きやすくなりますか。さっきの待機児童の問題もあるし、病児保育もある。



小池:やっぱり。例えば、ナニー(母親に代わり子育てをする人)というかね、そういう人の確保とかですね。これはもう特区で大阪とか神奈川でもうスタートしてるんでね。私は東京でもやろうと思いますね。

あとはワークライフバランスです。なによりも、長く働いた方が偉いっていうのはね、これはもう大間違い。



安倍:そういうのがあたりまえになるように。大幅に改革してもらいたいですね。



小池:ええ。



(インタビューは2016年7月8日実施)

安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)

最終更新:7/12(火) 11:34

Japan In-depth

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。