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イギリスの不動産ファンド、2.4兆円の解約請求はなぜ凍結されたのか? (本田康博 証券アナリスト)

シェアーズカフェ・オンライン 7/11(月) 5:31配信

先月6月23日に実施されたEU離脱の是非を問う英国民投票は、EU離脱派が完勝した。事前の予想をくつがえす結果であったことから市場への影響も大きく、円高が大きく進行し、株価は暴落。既に長期までマイナス圏に沈んでいた日本国債の利回りは、さらに一段深く沈みこむこととなった。

このサプライズで大きな影響を受けたのは、もちろん当事者であるイギリスの市場も同じだ。開票直後の変化を見ると、為替が対ドルで13%程度のポンド安となった一方、イギリスの株式指数FTSE250は14~15%程度下落した。中でも、不動産不況への懸念から住宅建設関連株の下落幅は大きく、Bloombergが提供する住宅建設業(Homebuilders)インデックスは、開票前と比べ約4割も大暴落したのだ。

■不動産ファンドの解約請求が殺到
イギリスの不動産市場の不透明感から売られているのは、住宅建設関連株だけではない。Bloomberg等の金融情報メディアの報道によれば、目下、イギリスの不動産ファンドへの投資資金に解約請求が殺到しているのだと言う。

「英国では大手不動産ファンドの対顧客取引停止が相次ぎ、合計約180億ポンド(約2兆3600億円)の資産が凍結または動きが制限された。英国の欧州連合(EU)離脱決定を受けて投資家が同国の不動産投資から手を引こうとし、解約請求が急増している。
  「リーマン破綻前夜のベア・スターンズのサブプライムファンドを彷彿(ほうふつ)とさせる」と、ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロース氏がブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで述べた。「金融システムは流動性が適切な場所に流れ込むようにできていない。不動産ファンドはほんの一例で、恐らくほかにも資金が流出する分野があるだろう。懸念すべきことだと思う」と語った。

2.4兆円の英不動産ファンドが凍結-リーマン前夜のサブプライム彷彿 ブルームバーグ 2016/07/07」

解約請求の急増に対処するため6日までに解約処理を一時的に凍結することを決めた英不動産ファンド運用会社は7社。その金額は180億ポンド(約2.4兆円)にも上る。解約処理の凍結がこれほど広がったのは、それだけ多くの解約請求が集中したということだろう。

同記事では、そうした解約請求急増の原因は、『ロンドンのオフィス価値が英国のEU離脱から3年以内に最大20%下落する恐れがある』とのアナリストらによる警告だとされている。これは、おそらく間違いではないだろう。

だが、逆に言えば「3年以内に最大でも20%しか下落しない」と考えられる状況で、ここまで極端なパニック売りが進むというのは、やや違和感もある。肝心の投資先である不動産自体の経済的価値が、それほど急に目減りするはずもないのだ。

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最終更新:7/11(月) 5:31

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