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深刻な人手不足でも失業者が存在する理由。(塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 7/11(月) 5:54配信

労働力不足だと言われていて、非正規労働者の賃金が上昇しはじめていますが、失業率の統計を見ると3%を超えています。失業者が大勢いるのに、なぜ労働力不足なのでしょうか?今回は、失業者の問題について考えてみましょう。

■高度成長期でも失業率はゼロではなかった
高度成長期、農村の中学を卒業して集団就職列車で都会に働きに出て来た若者たちは、金の卵と呼ばれていました。当時はそれほど猛烈な人手不足でしたが、統計を見ると、失業率は1%程度あり、ゼロではありませんでした。

引っ越しをした場合には、引っ越し先で新しい仕事を見つけるまでの間は、失業者です。勤務先が倒産し、失業した場合も同様です。求人情報は多数ありますが、その中で最も良いものを探すのには、ある程度の時間がかかります。場合によっては満足出来る条件の求人情報が見つからないこともあり、そうなると更に良い条件の求人を探し続けることになります。

企業の求める条件と、働き手の事情が噛み合ないこともあります。こうした事例を、雇用のミスマッチと呼びます。たとえば子育て中の主婦や高齢者で、1日4時間しか働けない、という場合には、フルタイムの求人広告があっても失業したままだ、といった場合です。

■最近は、雇用のミスマッチが増えている
高度経済成長期には、工場の生産ラインで単純作業をする労働者が多数必要でしたから、「誰でも良い」という求人が多数ありましたが、最近ではそうした工場は労働力の安いアジア諸国に移転してしまっており、「パソコンが出来る人」といった求人が増えています。そうなると、パソコンが出来ない失業者がいても、失業したままになってしまいます。

高度成長期には、農村に若者が大勢いて、しかもトラクターが普及したため、労働力が大量に余っていました。従って、農村を離れて大都市で働く若者が多かったわけです。しかし最近では、一人っ子なので親の介護をしなければならず、親の家から通える職場でないと困る、といった人が大勢います。そうした人は、大都市で求人があっても失業したままです。

高学歴化も一因かも知れません。高度成長期は大卒が稀でしたが、今は大学進学率が5割となっています。そうなると、従来は高卒が担っていた仕事を大卒が担うケースが増えてきます。

親としては、苦労して子供を大学に行かせたのに、高卒の自分と同じ仕事はさせられない、と考えて、「大卒に相応しい仕事が見つかるまで、探し続けなさい」と言うこともあり得るでしょう。「嫁ブロック」ならぬ「親ブロック」ですね。そうした子供を養えるだけ、親の世代が高度成長期の親に比べて豊かになった、ということも影響しているのでしょう。

実際には就職が決まらずに大学を卒業してしまうと、その後に就職するのは非常に困難なので、決してお勧めできることではありませんが、残念ながらそうした親がいる事は間違いないのです。

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最終更新:7/11(月) 5:54

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