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韓流「BIGBANG」が米国進出 ハリウッド大物プロデューサーも支援

Forbes JAPAN 7/11(月) 19:01配信

その日、米カリフォルニア州の屋内競技場、「ホンダセンター」には1万9000名の観客がつめかけ、韓国の男性バンド「ビッグバン」の登場を心待ちにしていた。客の中には涙を流すロシア人の少女の姿もあった。

【写真】SOL (ソル)とG-DRAGON (ジードラゴン)

彼らの所属レーベルの役員は「アメリカ人たちにしてみれば、バックストリート・ボーイズの再来みたいなものかな」と肩をすくめて言った。中性的な魅力を放つ5人組は今、韓国のK-Popを代表する存在として世界のエンタメ市場を制覇しようとしている。

ビッグバンは昨年、4,400万ドル(約44億円)のツアー収入を記録。米国で最も稼ぐ男性バンド、マルーン5のツアー収入、3,350万ドルを軽く上回った。

「マルーン5よりも僕らが稼いでいるとは知らなかったよ」とフロントマンのG-DRAGONことジヨン(27)は話した。「お金のことは全部母親に任せているからね」

ビッグバンの所属元は市場価値630億円

ビッグバンを現在の人気に押し上げたのは、90年代に「ソテジワアイドゥル」の一員として活躍したヤン・ヒョンソク(46)が運営するYGエンターテインメントグループだ。YG社は現在、市場価値6億3,000万ドル(約634億円)の上場企業で、レーベル運営のほか、タレントの育成やコンサート事業を手がけ、最近はファッションや映画制作にも進出した。YG社は、ビッグバンの所属元という枠を超え、K-Popを世界に広める役割を担っている。

YG社の少女グループ2NE1(トゥエニィワン)は世界中のアリーナを熱狂させ、アディダスのCMではニッキー・ミナージュと共演した。カンナムスタイルで知られるPsyもまた同社の所属で、彼らが達成したYouTubeでの再生回数26億回という記録は、未だ破られていない。彼らはネットの口コミの力だけで、世界的人気を獲得した。10年前なら考えられなかった事態だ。

YG社の売上は今年、2億5000万ドル(約252億円)に達しようとしている。「昔は音楽の流通には地域的制約があったが、デジタルの時代になって国境は無くなった」と創業者のヤンは語る。

韓国には1950年代から米軍が駐留を開始し、米国のロックが強い影響を与えた。その後、ヨーロッパのダンスミュージックや米国のヒップホップが普及し、韓国の歌謡曲の影響も受けつつ、現代のK-Popにつながる音楽シーンが形成された。80年代に高校時代を過ごしたヤンはマイケル・ジャクソンや.米国の音楽番組「ソウル・トレイン」の影響を受けて育った。
--{ビッグバンの育ての親ヤンのキャリア}--
1992年にシンガーのソテジと出会ったヤンは3人組ダンスグループ「ソテジワアイドゥル」を結成。ヒップホップにキャッチーなメロディを載せた楽曲で人気となり、彼らのヒット曲「僕は知っている(I Know)」はローリングストーン誌の、「歴史的男性バンドのヒット曲」にも選ばれている。

人気絶頂期にあった1996年にヤンはグループを去り、後任のK-Popスターらの育成を開始した。彼が最初に手がけたのがG-Dragonで、当時12歳の彼はヤンから直接トレーニングを受け、後にビッグバンに加入するSOLもそこに居た。
その後、2人はテレビ番組のオーディションで賞を獲得した後、メンバーを増やし2006年にビッグバンが結成された。

ビッグバンはデビューから6年間、毎年1枚のアルバムをリリース。そのうち2枚は韓国語だったが、4枚は英語交じりの日本語で歌う戦略をとった。その後、YouTubeで世界的注目を集めたが「その頃はお金にはならなかった」とヤンは言う。「けれど、認知度の向上には大いに役に立った」

YG社のビジネスモデルはレーベル運営や、芸能事務所、コンサート運営等の業務を垂直統合した点が特徴だ。同社が楽曲から得る収益は全体の25%で、大部分はツアーやイベント、グッズ販売等から得ている。最近実施された世界ツアーでは各都市で平均260万ドルを売り上げた。

しかし、Psyやビッグバンが世界的ブレイクを果たした現在も、「K-Popの人気はまだまだアジア限定だ」とヤンは言う。YG社の売上の4割は韓国で、日本が36%、中国が20%という。それでも既に海外ブランドからの関心は高く、フランスに本拠を置くLVMHは8000万ドルを投じ、YG社の株式の12%を2014年に取得した。
--{1億ドルのエンタメ施設をソウル郊外に建設}--
1億ドルのエンタメ施設をソウル郊外に建設

また、韓国政府もYG社と手を組み、1億ドルをかけたエンターテイメント施設をソウル市郊外に建設しようとしている。山谷洞(サンゴクドン)一帯の約5万平方メートルの敷地に、モールやコンサート会場を備えた複合施設を建設し、新たな観光名所とする計画だ。

YG社が次に狙うのが北米マーケットだ。現状で米国での売上は全体の数パーセントに留まるが、既にハリウッド関係者との交渉も開始した。Psyや2NE1にはジャスティン・ビーバーを生んだ有力プロデューサーのスクーター・ブラウンも関心を示している。

ビッグバンは既にジャスティン・ビーバーを超える金額を稼ぎ出したが、これはヤンにとっては「想定内」のことだったという。

「ビッグバンを立ち上げた当時から、彼らはきっと世界中で人気になると確信していた」とヤンは話した。

Zack O'Malley Greenburg

最終更新:7/11(月) 19:01

Forbes JAPAN

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